(26)
「じゃあ、やめます! 報酬は、要りません!」
頭にきた俺は、そう怒鳴って鞭を叩き付けた。
「いいのかな? そんなこと言って」
「知るもんですか! 帰って寝ます! お先、済みません!」
立ち上がった先輩Aの言葉にそう返した俺は、身繕いを始める。
「ガッカリするぞ」
「ガッカリでも何でも、して下さい!」
先輩Aの言葉に返した俺だが……。
「この子を、ガッカリさせたくないだろ?」
そう言った先輩Aが、隣の部屋に通じる襖を開けた。
「マ……、マユちゃん!」
驚いた俺。俺が懇意にしているデリヘル嬢のマユちゃんが、部屋の中央でお膳を前にしてチョコンと座り、食事をしていたのだ。そのマユちゃんが、哀しい表情で俺に訴える。
「悪い韓国女を懲らしめてくれる……って聞いて、楽しみにして来たのに。やってくれないの?」
「このままじゃ、コイツは出禁だよね?」
先輩Aの言葉に、コクッと頷くマユちゃん。
「ズルいですよ!」
俺のそんな罵りも、先輩たちには通じない。それどころか、俺を追い詰める。
「この子も、韓国女にイヤな思いをさせられたんだろ? ここで男を上げるか、出禁を喰らうか。馬鹿な選択は、しないよな?」
先輩Aの言葉に続けて、主任が俺を激励する。
「その子の出勤からラストまでの料金、私が払ってあげてもいいわよ。ふたりで朝を迎えたいでしょ?」
それを聞いた俺は、手にしていた下着を叩き付けた。
「ここでやらなきゃ、男じゃありません!」
力を入れて叫んだ俺に、主任はニコニコして言う。
「分かっているじゃない」
その主任が……。
「あなたも、こっちに入りなさいよ」
マユちゃんを誘った。マユちゃんも……。
「はい。有難うございます」
そう返してお膳を自分で運び、宴に加わる。
「マユちゃん! 俺……、頑張るから」
「はい! 応援しています!」
マユちゃんの弾けるような笑顔での声援を背に、鞭を拾い上げた俺。何回か畳に打ち付け、調子や音の響き具合を確かめる。さぁて……。どうやって、この汚い韓国女を征伐してやろうか?
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