(2)
「泣き寝入りは、覚悟しているわ。でも……。子供の悔しさだけでも、晴らしてあげたいの」
主任の望みは、その家族の長女に対するレイプだ。在日専門の高校に通っているその長女。家が隣同士だから、学校は違っても通学路は重なる。グループで待ち伏せ、通り掛かった香織ちゃんに暴力を振るって楽しんでいるのである。
「お……、俺が……ですか? イヤですよ! あんな民族の穴で、大事なモノを汚すのは」
「アリバイなら、ちゃんと作ってあげる。必要なものも、揃えてあげるわよ」
臆する俺に、そう言った主任。ふたりの先輩も、俺をそその……いや、激励する。
「おまえを見込んで、主任が頭を下げているんだぞ」
「俺たちも、協力するから」
「い……、いや。そういう問題じゃなくて」
それでも渋る俺に、主任は奥の手を出してくる。
「仕事中にエロ画像をダウンロードして、会社のバソコンをフリーズさせたの……、誰?」
「じ……、自分です」
「自分の仕事を後回しにして、それを復旧させてあげたの……、誰?」
「しゅ……、主任です」
やっても、いいかな? そんな気持ちが、少し芽生えてきた。主任が、万札三枚を俺の前に置く。
「はい。これで、マユちゃんに逢えるでしょ?」
ふたりの先輩も……。
「ほら。時間延長。マユちゃん……、悦ぶぞ」
「これ、オプション代。マユちゃんと、楽しんでこい」
そう言って、万札を上積みする。俺は、積まれた札を鷲掴みにする。
「主任が困っているの、やっぱり見過ごせません」
夕方四時過ぎ……。
「私たち、クライアントへ出向いてきます」
主任が仕事をでっち上げてくれて、四人は会社の車で出発した。途中……。レンタカー屋でワゴン車に乗り換え、必要なものを買いに繁華街に立ち寄る。
「ん? おまえ……。何、持っているんだ?」
後部座席に乗り込んだ俺に、隣に掛けている先輩Aが訊いてきた。俺が抱いているのは、酒屋の裏からくすねてきたビールの空き瓶。
「どうするんだ? そんなもの」
先輩Aの問いに、俺は笑って答えをはぐらかす。
「い……、いえ。ちょっと。アハハハ」
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