(14)
「本当に、一緒に入るんですか? 考え直すなら、今ですよ!」
退社後……。ラブホテルを目の前にして主任に訴えたが、主任の態度は変わらない。
「何、グズグズしているの? 入るわよ!」
背広の袖掴まれて、引き摺り込まれてしまった。主任は、残業で遅くなる……と家族に言ってある。
「旦那と結婚前に来て、それ以来ね。ラブホテルなんて」
部屋に入ってはしゃぐ主任を余所に、俺は韓国デリヘルに偽名で電話を入れる。
「ご指名は、ございますか?」
「誰でもいいよ。初めてだから」
楽しむつもりは無いから、そう答えた。
「分かりました。十分ほど、お待ち下さい」
電話を切った俺は、道具を並べる。主任の目が光っているから、即汚い穴をぶち壊して終わり……とはいけないと思う。
十分後……。韓国デリヘル嬢がやって来た。すっげえブス女だ。整形して、このレベルか? こんなブスがマユちゃんから客を奪おうなんて、百年早いんだよ!
「ナンデ、オンナノヒトイマスカ?」
主任を見た韓国女は、下手な日本語でそう訊いてきた。主任は、笑って答える。
「気にしないで。ちょっとしたプレイだから」
「ソーデスカ。サキニ、オカネ、イタダキマス」
「ああ。分かった」
そう返した俺は、右手を懐に入れた。取り出したのは、財布ではなくスタンガン。それを、韓国女に押し当てた。
放心状態になり、ベッドに這い蹲る韓国女。韓国語で何かを喚いているが、構わず韓国女を縛る。両手首を後ろ手に縛り上げ、両脚の自由も奪い、仰向けにする。
「さあ。ショータイムよ。私を、楽しませて」
そう言った主任が、冷蔵庫からビールを出して栓を開けた。
「駄目ですよ! そんなもの飲んじゃ」
「いいじゃない。私が、全部払うから」
俺の言葉に返した主任は、ソファーに掛けて脚を組み、踏ん反り返った。
「自分でさえ、飲みたいのを我慢しているのに」
愚痴をこぼした俺は、ある道具を主任に見せる。
「いきなり、これをぶち込むのは……、駄目ですか?」
鉄製のディルドだ。先端が、鑢のようになっている。もちろん、井上氏に作って貰ったものだ。
「私の期待を裏切るつもり?」
主任のその言葉に、慌ててディルドを戻した。覚悟を決めるしかないな。俺は、手袋を嵌めて大きなナイフを手に持った。
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