(13)
翌朝……。
「先輩! お早うございます」
会社の玄関ロビーで、エレベーターを待っている先輩Aを呼び止めた。
「ああ。お早う」
「先輩。ちょっと、いいですか?」
「ん? 何だ?」
「ちょっと、済みません」
先輩をロビーの隅に連れてきた俺は、韓国デリヘル嬢を懲らしめる計画をお願いする。しかし……。話の途中で、先輩が。
「ラブホテル?」
大きな声で、そのワードを発言してしまった。エレベーターを待っている社員も、出勤してきた社員も、受付のOLも、みんな唖然としてこっちを見ている。
「先輩。大きな声、出さないで下さい」
そうお願いした俺だが……。
「何で、俺がおまえとラブホテルに入らなきゃいけないんだ?」
更に大きな声で、先輩はそんな質問をしてきた。
「誤解される言い方、よして下さい! みんな、変な目でこっちを見ているじゃないですか!」
そのとき……。
「ふたりとも、そんな関係だったのね? 知らなかったわ」
いつの間に来たのか……。主任が、会話に割り込んできた。
「しゅ……、主任!」
「ち……、違います!」
ブルブルと首を横に振ったふたり。三人は、場所を会議室に移した。主任が、俺の話を纏める。
「要するに……、あなたが言いたいのは。彼がひとりでラブホテルに入り、韓国デリヘル嬢を呼ぶ。車から降りて部屋に行くまでの間に、あなたが韓国デリヘル嬢を別の部屋に入れて懲らしめる。その協力を、彼にお願いしたいんでしょ?」
「そうです」
主任の話に、俺はコクコクッと頷いた。
「ちゃんと、順序立てて話しなさい。話を端折って要点を先に話すから、誤解されるのよ」
「済みません。それで……。報酬は払いますから、お願いします」
そうお願いした俺に、主任は話す。
「そんな面倒臭いことしなくても、部屋はひとつでいいじゃない?」
「えっ! 男同士で? 不味いですよ」
縋るように訴えた俺は、主任の次の言葉に驚く。
「私が、一緒に入ってあげるわよ」
「えっ! それ、不味いですよ。人妻とラブホテルに……なんて」
訴えた男だが、主任は意地悪な笑みを浮かべて返す。
「本当に、それが理由? 他人が居ると、不味いだけじゃない? 手抜きが出来るし。ちゃんとぶち込むか、怪しいものだわ」
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