その日が来た
それが今日だとゆうことは、もう何日も前から知っていた
昨夜はなかなか寝付けなかったが、目覚めはとても静かに訪れた
起き上がったまま見つめる視線の先の壁には、二種類の制服が掛かっている
明日は衣替えだ
今まで衣替えなどに特に感慨を感じた事はない
自分の処女の喪失が、まさかこんな理由を根拠に行われるなんて
「どうせなら冬服を犯そうぜ」
書き込んだ男の名は覚えていない
その書き込みに、男達は笑いながら賛同した
着替えを済ませて階段を降りる
朝食を食べていると、母が話しかけてきた
内容は軽い小言だ
友人の家にお泊まりするのに、そんな小さな荷物で大丈夫かと
一泊のつもりだからと、答えになっていない言い訳で早々に家を出た
通学の景色が違って見えた
逃げたい衝動と、絶望・・・それに興奮が混じった言い知れない高揚を感じていた
さすがに夕方、席を立つには時間を要したが、大きく息をはき、無理矢理に体を動かし教室を出た
あと1キロ
路地を曲がり大通りを抜ける
あと600m
公園の中を抜けず、わざと横路に入ると人気がなくなる
あと300
雑居ビルとシャッターしかない路地
もうすぐ最後の交差点
あと120m
もしかしたら、何も起こらないんじゃないかと思う気持ちが、自分の心にあった事に初めて気付いた
掲示板はやはり妄想の集まりで、私へのレイプの計画も、他のと同じ言葉遊びなんじゃないかと、交差点を曲がり停まっている黒いワンボックスを見るまで心のどこかに感じていたみたいだ
濃いめなスモーク越しに人影が見える
人数は数えられないが、シルエットから男だとわかる
心臓の鼓動が高まる
息が苦しい
頭が痛む
敬子は息を止め、すれ違いざまに開くワンボックスの扉の音を聞いた
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