私たちは、そのまま、最寄の警察署に身柄を保護されました。
簡なに事情聴取が行われ、即、男は指名手配されました。
警察は、妻が男といることに戸惑いを隠さないようでした。
どうしてそのようなことになったのか、私だけどうして逃げることができたのか、その辺りの事情を私は何度も聞かれました。
口に出して言わないものの、妻を残して逃げてきた夫には当然のことながら非難の目が向けられました。
私は居ずらい雰囲気を肌で感じつつ、ひたすら妻の無事を祈るしかできませんでした。
警察は、私の車を追跡し始めたようでした。
担当の刑事から、妻たちが、5kmほど離れた山間のラブホテルにいるのが発見されたと聞かされたのは、翌日の午前11時頃でした。
娘と一緒に逃げてから、およそ22時間が経過していました。
すでに警察はホテルを包囲してましたが、妻が人質として一緒にいる限り、簡単には突入できなかったようです。
午後2時、警察が強行突入し、ようやく妻の身柄を確保したという知らせが届きました。
男はその場で射殺されたとのことでした。
男が射殺されたことを聞いても、特別な感情は起きませんでした。
それより私は、すぐにでも妻に会いたいと思い、警察にお願いしましたが、妻が病院に搬送されている途中なので、今しばらく待つようにと言われました。
警察署にはマスコミ関係者が大勢押し寄せ、たいへんな騒ぎになっていました。
どうやら、私をとどめたのは、そのようなマスコミに対する配慮もあったようです。
私は妻の状態を案じつつ、辛抱して待ちましたが、思いもしないところで、妻に関する情報を得ることのなりました。
それは、私が警察署のトイレの個室に入っていた時のことです。
私が用を済ませ、水を流そうとした時のこと・・・
「おい、例の事件のこと、聞いたか?」
個室の外で声がしました。
「例の事件って、ラブホテル監禁の件か?」
「そう、そう・・・」
「聞いたって何を?」
「人質になっていた人妻が救出されたときのことだよ・・・」
「いや、詳しくは聞いてない・・・」
「それがよ・・・ホテルの室内はたいへんだったてさ・・・」
「たいへん?何が?」
「室内にはティッシュがそこらじゅうに散らばっていたらしくてよ・・・」
「ティッシュ?」
「そう、男の精液がべっとりついたやつだよ・・・どうやら奴さん、死ぬ間際に、その奥さんとやりまくったらしいな・・・」
「へえ・・・そんなにいい女なのか?」
「ああ・・・しかも、これこそ、マル秘の話なんだが・・・踏み込んだ時、奴さん、どうやらあの最中だったらしい・・・」
「へえ・・・こりゃあ、たまらんなあ・・・」
「なんでも女をバックから突いていたってよ・・・だから、ろくに抵抗できないまま、やられたんだろよ」
「それにしても、その奥さん、気の毒になあ・・・」
「ああ・・・二人がチェックインしたのが昨日の夜8時だそうだから、約18時間、一緒にホテルで過ごしたことになる。その間、何発、男にやられたのか・・・」
「こりゃあ、マスコミがかぎつけたら大変だぞ・・・」
「だからだよ・・・最大限の報道規制をしいている・・・その奥さん、実はすでに東京の病院に搬送されているらしい・・・このことは旦那にもまだ知らせてないそうだ・・・」
「旦那が、このこと聞いたら・・・ただでは済まないぞ・・・」
私は、その話を個室でカラダを震わせながら聞いていました。
その話の内容は十分予想できるものでしたが、改めて、他人の口から真実を聞くと、ショックは大きいものがありました。
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