男は、2列目に移動してきて、何食わぬ顔でズボンの履き直しました。
上半身は依然として裸、筋肉粒々とした逞しい裸体が汗で光っています。
妻の姿は見えません。
きっと放心状態で、3列目のシートに横たわっていたのでしょう。
私は仕方なく再び車をスタートさせました。
妻がルームミラー越しに姿を見せたのは、それから10分以上経過してからのことでした。
いつの間にかTシャツは着ていましたが、髪は乱れた状態のままで目は虚ろのように思えました。
「ティッシュとってもらえます・・・」
久しぶりに聞く妻の声でした。
それは私ではなく、男にかけられた声でした。
男は頷くと、すぐさま近くにあった箱ティッシュを妻に手渡しました。
どうやら妻は体内に流し込まれた男の精液を処理したかったようです。
妻のオマンコから流れ出る大量の白い体液・・・それを丁寧に拭き取る妻の姿が私の頭の中で妄想となって広がりました。
カーッとカラダが怒りから熱くなるのを感じました。
「おい、これ履くか?」
男はパンティとスカートを妻のほうへ差し出しながら聞きました。
妻は無言でそれをひったくるように受け取りました。
こうしてようやく妻が2列目のシートに戻ってこれたのでした。
その後の妻は、窓から外の景色を眺める時以外は俯いているか、目を閉じていて、決して、私と目を合わせようとはしませんでした。
いや、できなかったのだと思います。
男のほうも、十分、満足したのか、それ以上、妻に手を出すことはありませんでした。
やがて、前の座席に飽きてきた娘が妻を求めてぐずり始めました。
男は仕方なく、私に車を停めさせると、チャイルドシートの交換を命じました。
私は一旦車を降りて、助手席に回るとチャイルドシートを外し、後部座席に付け替えました。
その間、男は車を降りてタバコを吹かしていました。
一瞬、妻と目が合いました。
すると妻は、私に一枚の紙切れを渡してきました。
妻は真剣な表情で私を見つめながら頷きました。
私は運転席に乗り込む前、男に気づかれない位置で紙切れのに書かれていることを読みました。
『あなた、私が男の気を惹いている間に、彩花を連れて逃げて下さい』
その紙切れには、そう書いてありました。
果たして妻はいつ、これを書いたのかわかりませんが、
その乱れた短い字の中に、自分を犠牲にして私と娘を助けようとしている妻の気持ちがこめられていました。
私は運転席に乗り込むと、ルームミラーで妻の顔を見つめました。
妻は何事もなかったように、娘の相手をしていました。
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