大学進学にあたり買い与えられたパソコンは、私の妄想を補完するアイテムとしても活躍した
文字の中の他人の体験談は、頭の中の私を淫乱な娼婦にしたり、飼われる犬にした
特に、レイプされ感じてしまい転落する女性の体験談は、読み終わることが出来ないくらい興奮してしまう
ある日、アルバイトからの帰り道
私はいつもの道を歩かず、狭く暗い道を進んだ
忙しい昼間の、真面目な学生としてのノルマと、1人で過ごす部屋の中でする妄想を、何度も何度も繰り返し続け疲れていた
インターネットの掲示板にあった、レイプ犯のうろつく公園の噂を読んだからかもしれない
地名は伏せ字でぼかされていたが、学内でも良くない場所として噂を聞いたことがあったせいで、すぐに思い浮かべられた
私の足は、その公園を目指していた
交差点で立ち止まる
見上げると信号の下に、矢印と公園の名前が書かれた標識があった
入口は簡単なチェーンが、何本かのポールで繋がれ閉鎖されている
またいで中にはいると、昼間の間だけランニングコースとして解放されている遊歩道を進む
いくつも作られた小高い人工丘に、歩き始めるとすぐに、道を走る車の音すら聞こえなくなる
心臓は高鳴り、誰も居ないで欲しいと思いながら歩いた
園内を半周した頃、遊歩道が分岐した
オレンジのゴムでできた遊歩道から直角に延びる灰色のコンクリートの道
表札には展望台と書かれていた
こんな静かな、人気のない公園
外の音の届かないような奥にある街灯の途切れた展望台への道
こっちは危ないと思った
誰かが夜のランニングにしかねない街灯に照らされた遊歩道を離れてはいけないと思った
もしもレイプを目的とする男が存在するとしたら、他人が通りかかる可能性がゼロではない遊歩道を離れてはいけないと思いながら、私はコンクリートの道を進んだ
自分の息が荒くなってるのを感じた
昔、旧校舎の廊下を歩いた時の感覚と同じだった
道は登りながらうねり、園の真ん中を目指していた
どの人工丘よりも高い場所だと思った
視線の先に、コテージのような屋根をした柱だけの建物が、風に揺れる木々のなかに見える
耳には、風に揺れる木々の音と、私以外の足音が聞こえていた
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