【5】
数日後、俺は休暇を取った。
会社に「頭が痛い」と告げると、不機嫌そうではあったが、了解を得られた。
歩道橋から見下ろしていると、女が自転車でやってきた。茶色の膝上スカートの白いブラウス。相変わらず、いい女だった。
俺は女に続いてホームの列に並んだ。今日は、髪を下ろしていたが、それはそれで大人の女を醸し出していた。
相変わらず混んでいる電車に乗り込み、前回と同様に女の右後ろに立ち位置をとった。
走り始めてしばらくすると、女が俯いているのに気がついた。
(?・・・)
俺は、顔の向きを変えないまま、左下に視線をやった。俺の左隣に立っているサラリーマンは右腕に上着をかけていた。しかしよく見ると、その上着の先で女のスカートが少しシワになっているのが見えた。
(やっぱり・・・)
男は女の尻をゆっくりと手のひらで、撫でまわしているようだった。
(抵抗しないのか・・・?)
女は、つり革を握り締め、俯いたままだった。髪から覗く耳は少し赤みを帯び、下唇を噛み締め、辱めに耐えているようだった。
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その手は、最初は指先で・・・、しかしそのうち指全体、そして手のひらで私のお尻を撫で上げてきた。
(また・・・だ・・・)
指先で触れられた時は、体が硬直する。しかし、ゆっくりと優しく触れられるうちに、その力も持続しなくなってきた。
(やだ・・・)
体が熱くなり、顔が赤くなってくるのが自分でも分る。
(誰かに見られたら・・・)
私は俯くことで、周囲の視線から逃れることしか出来なかった。
指が、下着のラインを確かめるようにお尻から腰にかけてなぞり、そしてまたゆっくりと戻ってくる。その指はお尻では止まらずに、脚の付け根から、あそこ近くにまで差し込まれてきた。
(あぁ・・・、やめて・・・)
抵抗しないことをいいことに、後ろの手は中指をお尻の割れ目に食込ませながら、残りの指と手の平でお尻を撫でてくる。そして、時折中指を食込ませ、お尻の穴の辺りを刺激してきた。
(そんなとこ・・・、やめて・・・)
反対側の手が、左の太ももを撫でてくる。
その手の動きは、先月頃から週に何度か触ってくる痴漢の動きだった。一度だけ、降り際に顔を見た。爽やかな普通のサラリーマンだった。その男はスカートの上から触るだけでそれ以上のことはしてこなかった。そのことが、私を油断させていた。
(そんなに・・・触らないで・・・)
息が荒くなることを、唇を噛み締めながら、必死に堪えていた。
(あっ・・・だめ・・・)
お尻を撫でる指が、次第にスカートを捲くりあげてくるのがわかった。
スカートの中に流れ込む車内のクーラーの冷気を感じ、私は咄嗟に右手を後ろにまわし、スカートの裾を押さえようとした。しかし、その時には男の手がスカートの中で、パンストの上からゆっくりと揉んできた。
その手は次第にお尻の割れ目から、私のあそこを目指して差し込まれてくる。
(だめ・・・)
両脚に力を入れて、必死で脚を閉じようとしたけど、指が1本、2本と差し込まれ、下着の上からあそこを捏ねてきた。
「あっ・・・、いゃ・・・」
思わず口から声が漏れてしまい、私はつり革を掴んだ手を離し、手の甲を口に当てて、声を堪えるのに必死だった。
(だめ・・・、そんな風にしたら・・・)
腰を前に突き出して逃げようとしても、その指の動きを求めて、体が勝手に後ろに突き出すようになってしまう。
(あぁ・・・、だ・・・め・・・)
男の指の誘惑に負けそうになった時、車内のアナウンスが駅に到着することを告げた。
その指は、名残惜しそうに割れ目をなぞりながら、後ろに引き抜かれ、太ももにスカートの生地が触れたことを感じとった。
幾分かの乗客が降り、車内には少し余裕が出来た。その男は、そこからは触ってこない。それも、いつもの暗黙の了解のようなものだった。
私は次の駅までの間に息を整え、そしてホームに降り立った。
あそこに張り付いた下着は、しっかりと湿り気を帯びていた。
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(手を突っ込まれても、声を出さないんだ)
俺は、改札を出る女の後姿を見送りながら、ほくそ笑んだ。
女のスカートには、最初はなかったシワが、幾重にも付いていた。
(もっと、楽しませてやるよ)
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