三日目の夕方、懇願して帰宅を許された。
その時の価値観では、学校とゆうものは軽く薄いものだったが、今日まで繰り返された日々の癖に似た感情が、体を家に向かわせた。
自分は便器であり、持ち主はカズオだ。
むしろ、このまま壊れるまで離れないのが当たり前とゆうカズオの態度にこそ、その時の私は魅力を感じた。
だから私はカズオに提案し、アダルトショップのバックヤードで体に色んな物を刻み付けた。
電車のなかでも、歩いていても、感じるのは解放ではなく喪失感だった。
最寄り駅に着いて感じたのは、三日前にあの駅で感じたような…どこか自分の駅ではない感覚だった。
家に入り、部屋に荷物を置くと、そのまま風呂場に向かった。
シャワーのコックを捻ってから服を脱いだ。
シャワーを浴びはじめてから数秒後……ふと、突然意識が覚醒した。
風呂場の中を、男の精液の臭いが充満していた。
唾液と体液と、大量の精液の臭い。
それは、シャワーの湯に浴びれば浴びるほど強くなった。
何を理由に意識がはっきりと裏返ったのかはわからない。
臭いかもしれないし乳首の傷みかもしれない。
家に帰り、まず風呂にはいるとゆう行動が、今までの平穏な日常で繰り返されたこういだったからかもしれない。
立ち尽くしていると、膣から太ももに液体が垂れ落ちた。
視線の先で、つい二時間ほど前にカズオとアダルトショップの店員が膣のなかに流し込んだ精液が床に流れ落ちるところだった。
悪寒を感じた。
フラッシュバックのように、全部が思い出された。
自分の行動の重大さを初めて、いっぺんに認識した。
妊娠……病気……
振り払おうとしても、それを嘲笑うかのように自分の体が自分を責めた。
剃られた毛
乳首に光る、外れないように金具をペンチで潰されたリングピアス
膣の上に刻まれた、淫とゆう形の入れ墨
1週間
登校どころか部屋から出ることも出来なかった。
下着を着けても、服を着ても、隠せている気がしなかった。
全員が全部、知ってるように見えた。
頭の中、覚えている自分自身が行った行為は、いつまでも自分を責めた。
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時おり悪夢のように思い出される記憶に邪魔されながらも、回復したと自覚できるまでには半年以上の時間がかかった。
毛が生え揃い、ヤスリでピアスを断ち切り、何とかトラウマも克服しかけていた頃、同じ大学の男に告白された。
気弱で華奢で、礼儀正しく知識ある男。
彼の日の妄想からは真逆の存在に見えたからこそ、申し出を受け入れた。
思い返せば、それが一番の失敗だった。
正しい男は、私の中に存在する裏をきわだだせた。
些細な言動も気遣いも、全てが昔の願望と真逆で……ベットのなか、優しく触れる指さえ、男達の扱いを思い出させた。
全裸になり、仰向けのまま足を開く私。
私の足の間にもぐり込み腰を振る名も知らぬ男。
近づいてくる男の顔にだらしなく口を開き、流し込まれる唾液を飲み干す時の喉の感触。
男に射精を、、、、私の体に満足した証を出させるために口にした妊娠をねだる言葉。
遠くで私を便器と呼ぶ声。
正しい男は淡白で、回数は少なかったが、そのたびに罪悪感と屈辱感、言いようがない大きな何かドロドロとした感情に包まれながら自分を触った。
触った後に湧くのは、あの帰りの電車のなかで感じていたのと同じ喪失感だった。
また長い期間の屈折した日常が始まった。
学校や友人の前では、さらに固い言動がエスカレートし、少しヒステリックにもなった。
もとから自覚していた完璧主義は潔癖といえるほど自分のポリシーになり、また回りを囲む人たちは私をそうゆう女として扱った。
付き合いの続く正しい男ですらそうだったし、そう扱われれば、また性格がエスカレートする。
同じように、深夜の妄想もエスカレートし続けた。
昼間が潔癖であればあるほど、深夜の妄想は卑猥に下品にエスカレートした。
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