約束の時間になってもタカは戻ってこない。遅いなと思いながら携帯をみる。ちょうどタカから電話が掛かってきた。
『ごめん、ちょっとおそくなる』
ちょっとがっかりしたが待つしかない。明日はタカは休みだって言ってたし明日もあるし、と言い聞かせていた。先に料理してようかなと思い、キッチンにたつ。あれっ、お酒がないなと思い、キッチンの収納を開ける。ない、何処にもない。おかしいなと思っていると。床にも収納らしき扉みたいなものが付いていた。
『こんなのあったっけ?』
さっき下ごしらえをしているときには全く気がつかなかった。というより、キッチンマットの下に隠れていたのだった。バタバタと収納を開けるうちにマットがずれて見えたのだ。ここかなと思い、その扉を開けた。重い扉を開けると想像とは違う光景が広がっている。人が一人通れる程の階段が続いていた。なんだろうと、降りていくのにはなぜか不安があった。ひんやりとした風につつまれる。不安と好奇心の中、一歩一歩下がる。扉を開けた瞬間についた蛍光灯が薄暗く辺りを照らしていた。コンクリートの冷たい壁を伝い、降りていった。
降りていくとたくさんのモニター、たくさんの写真、見覚えのある下着があった。
『…なにこれ…。』
私は言葉を失った。モニターには私のアパートの全ての部屋が写されている。たくさんの写真には私が撮られた記憶がないものばかり。そして無くなってしまっていた下着。私は腰が抜けて冷や汗がでてくる。なんなのこれ…と座り込む。
『…彩、見ちゃったか』
とタカの声。その途端、薬品を含んだハンカチで口を押さえられ私は気を失った。
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