妄想15話……
暗黙の了承の元で静かに車を走らせる私です。
彼女も俯きながらハンカチを握っています。
そして私は一件のホテルに車を入れるのです。
簾幕を潜り抜け駐車場に車を駐車させるのでした。
そして…
「行くよ…」
私は偽善者を装い彼女の手を握ります。
軽く頷く彼女…
そうして私と彼女は中に入って行くのでした。
心臓の早まる鼓動を私はヒシヒシと感じながら彼女を部屋に招くのです。
ここに来れば何をするのか?
当然ながら彼女も把握しています。
彼女の心中など今の私には何も必要も無い事でした。
あるのは憧れの彼女と淫事を交わる事だけ…
愚かにも落ちぶれた自分が そこに存在していました。
そして私は煌びやかなベッドの前で立ち竦んでいる彼女に摺り寄るのです。
そっと彼女の肩に背後から手かざし静かに抱き締めました。
仄かに あの昔に嗅いだ時と同じ香水の香がしました。
彼女は黙ったまま手にハンカチを握り締め俯いています。
「藤○さんに…何があっても…僕は…好きなんだ…」
彼女は私の言葉に無言で反応を示しました。
私の手を強く握りしめて来ました。
「好きだ…」
私は耳元で囁きました。
すると…
「こんな…姿になってても…好き…?」
彼女の口から小さく囁かれた言葉…
そして 同時に彼女は上着を脱ぎ始めるのでした。
私は正直 少し驚いてしまいました。
彼女から上着を脱ぎ始めるなんて想像もしない事でした。
私は上着を脱ぎブラウスを脱ぎ始めた彼女を背後から見つめます。
ブラジャーだけの上半身を背中越しに見せる彼女…
そして…
「見て…こんな女にされてるの…」
私の目に確かに飛び込んで来た哀しい現実…
それは…
彼女の身体に幾筋もの和縄の縛痕…
痛々しく白き肌に刻まれた緊縛痕に私は言葉を失うのでした。
そして彼女は言いました。
「抱ける…? こんな不様にされた私を…」
私は彼女の背中を見ながら物凄く恥てしまうのです。
愛しき人の不幸に土足で上がり込もうとしている自分を彼女に刻まれた縄痕が涙で訴えているようでした。
私は その彼女の意を決した行動に切なさが沸き上がって来るのでした。
「まだ…見たい…?」
言葉を失っている私に向かい彼女は更にスラックスを脱ぎ始めました。
パンストに覆われた華奢ながら美脚…
しかし その美脚にも数本の縄痕が刻まれていました。
「私…もう…ダメかも…」
彼女の哀しい言葉が洩らされます。
憧れの彼女に ここまでに性欲を叩きつけた輩…
課長と言う存在に 私は初めて怒りを覚えるのでした。
切なさが沸き上がって来る私は 傷ついた彼女を愛しく思う感情が沸き上がり 知らず内に彼女を背後から再び抱き締めていました。
こんな卑劣な偽善者を装った形で彼女を誘ってしまった私はでしたが もう 今は本当の彼女に対しての愛しさが存在していたのです。
私は彼女の耳元で もう一度囁きました。
「何があっても好きだ…藤○さんを抱きたい…」
そして私は強く彼女を抱き締めるのでした。
彼女は優しく囁きました。
「ありがと…」
そして彼女は顔を横に向け私に向けました。
私は彼女の唇に背後から重ね合わせるのでした。
そして彼女を正面に向かせ再び接吻を交わすのです。
淫らに接吻をしながらベッドに押し倒れる私と彼女…
後は 乱れるように交わる私と彼女でした。
俎板の鯉なんて そこには存在はしません。
有りったけの知識を曝け出した彼女の姿が 私の胸を更に熱くします。
何度も接吻を交わしては、お互いの性器を癒す2人。
交わりながら爪をたて悶え狂う彼女…
シャワーも浴びる事も忘れ汗を舐め合う2人でした。
「いっ…い…いぃぁ…あ…ぁ…」
彼女の悩ましい悶声が部屋に響き渡ります。
避妊具も付ける事わ忘れ交わる2人…
彼女すら拒否をしない生挿入が更に私達を快楽に導くのでした。
濡れに濡れる彼女の膣穴…
何度も逝く寸前の堪え顔を私に晒しながら悶える彼女。
私も彼女を精一杯に愛をぶつけるのでした。
私は彼女の事を抱きながら彼女に呟きます…
「何もかも忘れよう…」
彼女も悩ましく頷き囁きます…
「き…気持ちいぃ…何もかも…忘れさせて…」
私は彼女の口から漏れる痴言に更に興奮するのです。
そして更に淫らに厭らしく身体を重ね合わせる2人でした。
そして…
「逝っちゃいそうだ…藤○さん…」
「いゃ…徳子と読んで…」
彼女は強く私に脚を絡ませながら言いました。
「の…徳子…逝く…」
私は彼女の名前を囁きながら逝時を伝え彼女から膣から抜け離れようとします。
その時でした。
彼女の絡めた脚が更に強く私に絡んで来たのです。
「ダメだ…逝くから…ダメだ…」
すると…
「いゃぁ…抜かないで…中で…中で…中で出して…」
私は彼女の言葉に驚きを隠せませんでした。
「な…何…? ダメだって!」
私は逝く寸前にまで追い込まれながら彼女に伝えます。
「良いの!! 出して!!」
彼女は逝き声に似た声で言います。
「うわぁ… もうダメだ…逝く…」
私は逝き限界に達した股間を引き抜く言すら出来ず 彼女の中に射精してしまうのでした。
止めようとも快楽の種子は留まる事も無く彼女の中に果て蓄まります。
「うわぁ…やばい…」
私は膣内射精に狼狽えてしまいます。
しかし彼女は動じる事も無く膣内射精を受けとめています。
逝き果てた私を離す事も無く強く抱き締めたままでした。
「ご…ごめん…中に出しちゃった…」
彼女は笑顔で微笑みながら…
「いいの…いいのよ…」
そして私に接吻をねだって来るのでした。
私の胸の内は複雑でした。
あの彼女が淫らに私と抱き合い そして 膣内射精まで許す…
私は 何故か良い知れない複雑な心境でした。
しかし その後も 彼女からの積極的なアプローチで朝まで抱き合ってしまう複雑な私でした。
何度も膣に射精する性行為…
もう理性を忘れ雄と雌となっていました。
そして朝を迎え気怠くシャワーを浴びホテルを後にする私と彼女。
何故か帰る車内は沈黙が漂ってました。
そして別れ際…
「ありがと…」
ただそれだけを言い 朝焼けの街に消えて行った彼女。
私は彼女の後ろ姿が見えなくなるまで目に焼き付けました。
一度も振り替える事も無く消えて行く彼女を見送る私でした。
そして フツフツと沸き上がって来る課長への怒り…
私は その日を境に 復讐では無いですが 彼女の想いを叩き付ける為の決心をするのでした。
しかし…
それから三日後の事です…
私は何もかもを叩き壊された思いをするのです…
彼女の訃報を耳にするのでした。
自ら帰らぬ人となった彼女…
そして…
メモ書きに…
【ありがとう】
それだけを残して……。
完。
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