澄み渡った雲一つ無い晴天…
そんな晴れやかな晴天の元で小学校の入学式を終え桜の木の下で記念撮影をする微笑ましい親子が居た。
薄アイボリー色のフォーマルスーツに胸元を花の飾り物を付け白のブラウスに膝より少し上のスカート姿の女と真新しい児童服姿の娘。
着飾った女の容姿は誰が見ても美しき女。
ウェーブする肩より長い栗色より少し明るめに染められた髪…
目鼻筋が通った美顔…
腰ラインが絞まった細身のボディー…
そしてストッキングに覆われたスラリと細く引き締まった足首とふくら脛の美脚…
レンズを向ける夫らしき男も誇らしげに妻と娘をカメラに収める。
しかし…
そんな微笑ましい情景を遠巻きから見つめる一人の男がいた。
夫以外に女と娘にレンズを向ける男…
正門近くで車の中から望遠レンズ付きカメラで親子に焦点を合わせる。
しかしファインダーに移る被写体は女の姿のみ…
シャッターが連続して押され女を捕らえて行く。
不気味に車内にシャッターを切る音だけが響く。
そして…
「やっと…見つけた…」
男は不気味に呟いた。
男はファインダーを見つめ更に呟く…
「あの時の忘れ物を届けに来たぜ…」
得体の知れない男に狙われている事など知る事の無い女は笑顔で夫と娘と手を繋ぎ小学校を後にするのであった。
親子水入らずな後ろ姿に冷ややかな視線を突き刺す男。
そして遠巻きから悟られる事無く後を付け狙う男。
有料パーキングに駐車してある自家用車に乗り込み走り去る女と家族。
男も車を走らせ女の乗った車の後を追う。
閑静な住宅地を走り静かな街並みの一軒家に車が停まる。
小さいながらも一軒家が女の住まいのようであった。
そして女は家族と共に家の中に消えて行く。
一部始終を遠巻きから確認する男。
女家族が家に入った事を確認すると玄関前まで車を近付ける。
そして車内から表札を見る男。
「江原か…」
男は不気味に呟きながら封筒を手に取った。
そして封筒に走り書きで表札の名前を書き留める。
しかも名字に付け加え女の名前も書き添える男。
何故…女の名を知るのか…男の素性が女と関係している事の証でもあった。
そして封筒の中に写真を数枚とメモ書きした紙を入れる。
最後に封を確実に閉める。
宛名は女…差出人は小学校の名が書かれていた。
女にだけ確実に手に渡るだろう手段を講じた封書…
男は急ぎ足で車から降り大胆にもインターホンを押す。
しばらくすると女の声で応答があった。
「はぃ…何か…?」
「あ…あの…すみません…○○小学校の者ですが…渡す…お手紙を忘れてましたので…ポストに入れておきます…では…失礼します…」
「あ…あ…あの……」
女の慌てる返答にも耳を貸さず伝えるべき事だけを話し車に乗り込み走り去る男。
慌てながら玄関から出て来た女は走り去る車を不思議そうに見送るのであった。
「何…? 変なの…そんなに急がなくても…良いじゃない…」
足早に去る姿に女は不思議を感じたが言われた手紙をポストから取り出した。
「何…? これ…?慌てた字で書いてるわね…」
宛名の走り書いた字を見て失笑する女。
そして…
「何かしら…?」
女は玄関前で封書を開き見る。
中に入っている数枚の写真らしき物が封の開封口から覗き見えた。
「え…? 何…? 写真…?」
女は不思議そうに入っている写真らしき物の一枚を引き出した。
そして確認する女…
すると女の表情が一変し見る見る内に青冷めて行く。
写真を持つ手が震え出す女。
「そ…そ…そんな…バ…バカな…」
女は写真を見るや否や愕然とし立ち竦んでしまう。
すると…
玄関から夫が出て来た。
「どうしたんだ? そんな所でボーっとして? 早く食事に行くぞ…!」
女は夫の言葉で我に返り正気に戻る。
「で…何だったんだ? 学校からって?」
夫は女に問う。
「い…い…いえ…何でも無い…た…ただの連絡事項みたい…そ…それより…早く行きましょう…」
女はシドロモドロに封書を隠すように持ち家の中にと急ぎ入って行く。
首を傾げる夫から逃げるように家に入り封書を寝室の鏡台の引き出しに押し込むように入れ隠す。
そして何食わぬ顔をし再び家族で外食に出掛けるのであった。
しかし…
浮かない表情の女…
心配する夫に作り笑顔で何事も無い素振りをし家族の団欒が過ぎて行く。
楽しいはずの娘の入学祝いの外食が一枚の写真によって叩き潰される女の心情…
笑顔で接するも一抹の不安が女の胸を鷲掴み食事も喉を通らなかった。
「どうしたんだ? 具合でも悪いのか?」
食の進まない女に気遣う夫。
「い…いぇ…少し…疲れただけかも…だ…大丈夫…」
女は心境を隠すように答えその場をやり過ごす。
そして食事も無事に済ませ一家団欒を家で過ごす女家族。
夫と娘は風呂場で はしゃぎ声を出しながら入浴をする。
しかし耳に入る楽しき入浴の声も女には微笑ましく聞こえない…
一人寝室の鏡台に腰を掛け隠し入れた封書の棚を引き開き仕舞われた封書を眺め見る。
『どうして…? どうしてなの…?』
女は封書を眺めながら不安を胸に苦悩する。
その時…
「どうしたんだ? 可笑しいぞ? 今日は?」
灯りも点けずに鏡台に座り物想いに更ける女を不自然に感じながら部屋に入って来る夫。
慌てて引き出しを閉じ振り返る女。
「そ…そうかしら…? 別に何でも…ない…わよ…」
突然の夫の言葉に慌てる女。
「さぁ…わ…私も…お風呂に…」
女は又しても逃げるように部屋を出て浴室に向かうのであった。
湯槽に浸りながらも不安を隠しきれない女…
何時もなら癒しの場となる入浴が今日は違った。
重苦しい胸の遣えと共に足早に済ます入浴。
そして歯切れの悪い団欒の元で就寝時間を迎える家族。
「俺は明日…早いから先に寝るぞ…」
夫は女に就寝の言葉を告げ寝室にと消えて行く。
そして女は子供を寝かし付けリビングで一人物想いに更ける時間を過ごす…
そして女も就寝に付くのであった。
隣のベッドで寝息をたて眠る夫を横目に眠れぬ夜を過ごす女。
頭に過る封書の中身…
そして…
女はベッドから起き上がり例の封書を取出し寝室を出る。
夫や娘に気付かれないように静かに扉を開けリビングにと向う女。
キッチンテーブルに腰掛け封書を見つめる女。
そして…
中身を総て引き出し確認する…
写真を見る手はやはり震えている。
『ど…どうして…どうして…今頃…』
女は写真を見ながら嘆く。
そして涙が頬を伝うのであった。
【3枚の写真】
淫らにして卑劣な行為を写した写真…
さかのぼる事…凡そ17年前…
高校2年生の夏の事であった。
学校内でも評判の美少女として持て囃されていた女。
その日は体育館で黙々と部活である新体操の練習に励んでいた。
レオタードに身を包み迫り来る地区大会に向けて一人練習に汗を流す。
時刻は既に夕刻の6時を迎えようとしていた。
そんな一人黙々と練習に汗を流す女を一人の男が影から覗き見ていた。
スラリと伸びた脚に素晴らしいボディラインがレオタード越しに淫らなシルエットを浮かび上がらせる姿を覗き見る男。
そんな女を遠巻きからカメラのレンズを向ける。
写真同好会の部員…
部員と言えども男一人だけの同好会であった。
秘かに想いを寄せる余りに盗撮をする男。
興奮する手でシャッターを押しまくる男。
そして女は練習を終え部室のロッカー室に戻る…
男も後を付け部室の裏側の外から室内が見える窓越しの物陰からレンズを向ける。
汗ばんだ身体をタオルで拭う姿を外部の窓の隙間から覗き見る男。
そして女はレオタードを脱ぎ始める…
絶好のチャンスを窓の隙間からカメラで狙う男。
レオタードが脱ぎ去られ汗に蒸れる下半身を覆うハイレグサポートパンツが顕になる。
そしてサポートパンツに手を掛け覗かれている事も知らず脱ぎ去って行く女。
完全に何も纏わない素晴らしい裸体が露になる。
何も纏わない姿…
そして身体の汗をタオルで拭う悩ましき姿。
興奮する男は無我夢中でシャッターを押す。
しかし…その時であった…
カメラのファインダー越しに信じられない光景が飛び込んで来る。
女が全裸で汗を拭っている時であった…
部室の扉が開き足音も荒く男2人が入り込んで来た。
施錠を忘れていた女は乱入して来た男に驚き悲鳴を揚げる。
乱入して来た男2人は学校内でも札付きの悪学生で空手部の3年生の男達であった。
乱入して来るや否や悲鳴を揚げる全裸の女に襲い掛かる2人。
一人が女を羽がい締めにし暴れ助けを求める女の動きを止める。
そして もう一人の男は無防備になった女の腹に拳を何発も突き入れる。
下腹の鈍痛に蒸せ返る女を羽がい締めにしている男は女の首の頸動脈を締め付け意識を奪う。
全裸で崩れ去る女…
「おい! お前! 外で見張ってろ!」
そして一人の男は部室を飛び出し外で見張る。
部室に残る男は貪るように女を犯す。
「すげえ…毛を剃ってるぜ…」
レオタードを身に纏う為に陰毛を処理している女に男の興奮は最高に達し貪るように膣穴に若きペ○スを突き入れる。
初体験では無さそうである女は出血する事も無く男に貪り犯される。
意識を取り戻し抵抗する女は容赦しない暴力を振るわれ手荒く犯される。
代わる代わる突き込まれて行く若き欲望のぺ○ス。
暴行を受ける女の顔は鼻血の出血により赤く染まり涙と共に美顔を汚す。
そんな最悪な光景を窓の隙間から覗き見てしまった男は助けを呼ぶ事もせずに我を忘れシャッターを押し続けてしまうのであった。
大スクープをカメラに納めた男は興奮する。
犯される学校内でも美人で評判な女の姿…
己が秘かに好意を寄せている憧れの女の哀れに強姦される姿…
シャッターを押しながら自然に片方の手は股間を握る男であった。
だが…その時…
「やべえ!!誰か来る!!」
慌てて見張り役の男が声を掛けた。
腰を荒く突き入れ動かす男は夢中の余り耳に届かない。
その時…
「お前達! 何をしてるんだ!」
教員が部室に怒鳴り声と共に入って来る。
女に覆いかぶさり犯している最中の男も慌てふためき逃げるも捕まってしまう。
犯され倒れる女の姿をカメラに納めた男は何食わぬ顔をし その場を離れた。
そして…その後…
女を襲った男達は即刻退学処分となり犯された女側は その後に両親を相手取って裁判沙汰にまで発展した。
当然ながら犯した男子生徒は未成年と言う事も有り家庭裁判所からの処罰の元で少年鑑別所に拘置される事となる。
当然ながら学校中でも噂は絶え間なく持ちきりになり女に偏見の目が向けられる。
そして…その後…
女は別の学校にと転校を余儀なくされ学校を去った。
そして…
月日は流れ今日に至る…
女は写真を手にし涙しながら あの時の忌まわしい出来事を回想した。
握られた写真…
正しく その時に隠し撮られていた強姦されている己の写真…
しかし…
何故…あの時の写真が存在するのか…
そして…
投函した男とは誰なのか…?
女は背筋を凍らせながら恐怖するのであった。
夫にも誰にも知られたく無い過去…
そして女は同封されたメモ書きに目を通す…
【やっと…見つけた…】
女は更に恐怖した…
また狙われている…
震える身体を庇うように強ばらせ迫り来る恐怖に脅えるのであった。
続く。
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