妄想14話……
療養室のベッドで眠る女を横目に管理人は撮ったビデオテープの複製を報酬として受け取る。
「お前も完全に地に墜ちたか…? そのテープで脅迫でもする気かぁ?」
医師は男が執拗にテープを欲した事に悪な疑問を感じる。
「いゃあ…そんな事する訳無いだろ…但のコレクションの一品だよ…」
男は更なる欲望が頭をもたげて居る事を浸た隠し返答する。
つい今 中絶処置をした根本の原因は己が女に犯した欲の代物など口が裂けても言え無い現状…
ましてや新たな欲望が湧き上がって居る事など言える事では無かった。
しかし医師は感じていた…
「余り無茶するなよ…」
その言葉が全てを物語っていた。
「後…どの位で意識が戻るんだ?」
「あぁ…1時間程だろうな…でも今日1日はココで安静にして貰う方が良いな…少し俺達も無茶したからな…」
あれだけの卑劣な行為をしておきながら女を今更のように気遣う医師。
「あぁ…目覚めたら言ってやってくれよ…」
そして医師と男は部屋を出て別室で待つのであった。
雑談を交わしながら待つ事おおよそ1時間…
「そろそろ目覚める頃だな…」
そして再び男達は女が眠る部屋にと戻る。
医師が女の脈を計り異変が無いか軽い診察をする。
まだ眠りから覚めて居ない女の身体に異変が無い事を確認し暫らくベッド脇で意識が戻るのを待つ。
「しかしよ…たいした女だぜ…この歳で…この身体だぜ…金掛けてるんだろうな…」
「あぁ…俺も思ったぜ…やっぱり芸能人は違うな…」
そんな女を性欲と言う目で見ながら小声で話しする下等な2人。
すると…
「お…目を覚ましそうだ…」
女の眉が動き眉間にシワが寄り瞳が薄らと開く。
「○ルシアさん…気分は如何ですか?無事に終わりましたよ…」
あたかも善良な医者らしく女に優しく声を掛ける医師。
ほんの数時間前までは目の前の女を犯し身体を隅々まで堪能した事など微塵も伺わせなかった。
「あ…ありがとうございます…せ…先生…」
まだ意識が朦朧としている中で女は感謝を告げる。
己の身体を汚され弄ばれた事など知る事も無く感謝する。
「処置は完全に終わりましたが念を捕って今日1日は此処でお休み下さい」
医師は女に優しく囁く…
「西○さん…私は先に帰りますから後はユックリしてお戻り下さい…」
医師と管理人の言葉に女は安堵したかのように頭を下げ声を出すことも無く意思表示し再び瞳を閉じ眠りに就く。
そして男達は部屋を後にするのであった。
「後は宜しくな…」
管理人は医師に告げ一足先にマンションに戻るのであった。
手には余す事無く一部始終が撮り納めされたビデオテープを宝物のように握り締め足取りも軽く帰途する男。
管理室に戻った男は宝物のビデオを鑑賞しながら自慰に更け女の帰りを待つ。
「さてと…これを…どう使うか…」
男は犯される女のビデオの映像を観ながら次成る欲望を企てるのであった。
そして…
明くる日の夕刻が過ぎた頃 漸く女が戻って来た。
足早に真っ先に管理人室を訪れる女…
「本当に有難うございました…何とお礼をしたら良いのか…また改めて…させて頂きます…」
女は管理人に敬意と感謝の気持ちを伝え爽快な顔をし感謝を綴り述べる。
「いゃ…私は何も…」
頭を掻きながら善な態度で接する悪魔。
そして女は何度も頭を下げ自室にと戻るのであった。
その後ろ姿を男の視線が突き刺さって居る事など感じる事も無く女はエレベーターにと消えて行く。
「これからが…楽しみだ…」
そう呟きながら男は次ぎ成る欲望を駆り立てて行くのであった。
そして翌日…
女は以前の重い足取りとは裏腹に足取りも軽く仕事にと出向く。
まだ完全には癒えていないだろう身体を労りながらも表情は明るかった。
そして幾日かが過ぎて行き男の更なる欲望が動きだす。
男は秘かに持ち帰ったビデオの映像を小分けに編集をし1枚のDVDを作る。
「さてと…そろそろ…もう1発…仕掛けるとするか…」
男は作った映像を封筒に入れ受取人の女の芸名を新聞の切り文字で綴った。
そして女の帰りを待った…
今日は何時もより早い帰宅のようで夕刻には女が帰って来た。
手に何やら紙袋を下げ管理人室に自ら訪れる女。
男は呼び出す手間が略けた事に薄ら笑みを浮かべながら女を出迎える。
「あの…鈴木さん…この間の…お礼にと思って…詰まらない物ですが…」
そう言いながら紙袋を男に手渡す女。
恐縮する素振りを見せながら紙袋を受け取る男。
だが男には そんな品物などはどうでも良かった…
それよりも己の欲を遂行する事だけが頭に過る。
そして…
「あ…そうだ…西○さん…ちょっと不審な封書が玄関前に落ちていましてね…」
そして己が用意した封書を女に見せ手渡した。
明らかに怪しげな封書に女の顔が一気に曇る。
「やだ…何…?気味悪い…」
「でしょう…どうします?警察に届けましょうか?」
男は善人振りを役者顔負けの演技で振る舞う。
男の言葉に返答する事も無く沈黙する女…
やはり…芸能に関わる者は余り公になるような事は嫌うもの…
男は速答は絶対に無い事には自信があった。
そして…
「1度…中身を確認してからでも遅くは無いでしょう…もし良ければ…一緒に確認しますか?」
男の問いに女は救われた思いで速答する。
「ええ…お願いできますか…」
女は管理人と言う悪魔な男に絶対的な信頼を置いていた…
誰もが知らない中絶と言う事も解決してくれた正に恩人のように思う程であった。
その速答が全てを物語っていた。
そして中身を確認する2人…
中の品物を取出しDVDだと言う事を女と共に白々しくも確認する男。
「何だ…?DVD?」
そして1枚のメモに記された携帯番号…
男は女に問う…
「知っていますか?この番号?」
絶対的に知る事が無い事を分かっての質問を平然と問う。
「いぇ…私…知らない…」
当然の答えが帰って来る。
「どうします?掛けてみますか?」
女は今回は速答は控え沈黙する。
「じゃぁ…DVD見てみますか?」
更なる男の問いにも沈黙する女…
何やら思い考えていそうな表情に男は予定通りの進行だと確信する。
そして…
「い…いえ…良いです…処分します…」
女からの返答に男は全てが思った通りだと言う事に歓喜する。
「分かりました…では…確かに渡しましたからね…」
そう言うと女に手渡し更に…
「お節介かも知れませんが…処分する前に1度…ご自身で中身を確かめになってからにした方が…今後の為になるかと…」
女は男の助言を気を害す事無く受け止め返答する。
「そ…そうですよね…何かも確認もせずに処分なんてね…」
少し不安な表情をしながらも絶対的な信頼を置いている管理人の助言を受け止め足早に自室にと戻る女であった。
「やっぱりな…芸能人って奴はスキャンダラスな事を一番嫌うってのは…本当のようだな…」
男は確実に女は何処にも打ち明ける事無くDVDを見る…
そして必ず罠に堕ちると確信するのであった。
女は不安を抱きながらリビングのソファーに腰を下ろしDVDの入った封書を見つめながら思い悩む。
そんな光景すらも男の隠しカメラが鮮明に映し出す。
『何かしら…?もし…変な物だったらどうしよう…』
思い悩む時が過ぎて行く…
そして…
女は管理人の助言を何度も頭に思い起こし意を決し中身を確認する事にした。
恐る恐る中身を取り出す女…
ケースを開けた瞬間…1枚のメモがケースの中から足元に落ちた。
女はメモを拾い上げ書かれている文章を読む。
【この映像は修正済み。原盤には顔が鮮明に映っている。後は…貴女次第だ…】
何やら不気味な文面が記され女の不安は一気に高まった。
『後は貴女次第って…どう言う意味…?』
女は不安一杯の中 暫らく映像を確認する事が出来ないでいた。
どれ位の時が経ったであろう…
女の心の中で何かが吹っ切れたようであった。
『よし…見よう…』
女は震える手を抑えながらプレーヤーにセットしプレイボタンを押す。
暫らくして映し出された映像を見て愕然とする…
顔は確かにボカシが入っているが紛れも無く自分自身…
しかも映されている所は、あの中絶をした医院の玄関に入る自分の姿…
そして…
ほんの一瞬だけ分娩台で中絶処理を受ける自分の姿が映る…
ほんの数カットだけが納められたDVD…
他人なら分かる事が無い場面だが本人が見ると確実に自分と分かる代物であった。
『何故?どうして?誰が?誰が撮ったの!?』
しかし送り付けられた映像は…ほんの数カット…
まだ全容が見えて居ないが確実に存在するであろう他の映像。
女は狂気し錯乱し脅える。
そして…
最後のカットが終わった所で文字が現われた。
【口外したり指示に従わなかったら容赦無く無修正を闇にバラ巻く。今の条件は只一つ…メモに書かれた番号に電話をしろ…俺は気が短いと言う事だけを付け足しておく…】
女は背筋が凍り付き絶句し誰の仕業なのか?頭の中で必死に探る。
だが巧みに作られた合成映像をも組み込まれた一瞬しか映し出されないカットシーンの連続が女を錯乱させた。
実際にあの場には存在しないナース迄もが処置室に医師と共に映り…
管理人と医師そして自分が診察室で居る所までもがドアーの影から撮るように合成されていた。
瞬時の短いカット場面がより女を錯覚させ錯乱させる。
あたかも盗撮者が居たかのような作りが成されていた。
女は愕然と膝を床に突き崩れるように腰を落とし嘆くのであった。
正体の見えない悪魔より脅迫された○ルシア…
決断を下す時は訪れるのであろうか?
哀れな○ルシアの運命は如何に…
続く。。。
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