目が覚めると、外は明るく、傍らに鈴木だけがいました。
「やっと気がついたか?凄まじい、逝きっぷりだったぞ。大声上げて、竹田のSEXで完全に火がついたみたいだったよ。」
シーツや体、顔や髪についた、男性の液が乾燥して、ガサガサになっていました。
「約束どおり、3人には手を引かせた。まぁ、課長は俺に弱み握られてるし、女を照会するって言えば簡単だったよ。」
「あとの・・・二人は?」
絞りだすようにしか、声が出ませんでした。
「あいつらは、俺の言いなりだから。それに、平野も当分は出張だからな。」
鈴木が顔を近づけて、唇を奪いました。自然に舌を入れられ・・・、自然にその舌を受け入れました。
「うん・・・うぅん・・・」
舌を絡ませるだけで、腰が砕けそうに感じてしまいました。
「また、したくなりそうなのか?体が変化したのかな?」
いやらしく笑いながら、鈴木が言いました。
「とりあえず、今日は俺も帰るから。俺も当分の間、出張やらで忙しいけど、月曜日は必ず出社しろよ。暇になったらまた楽しもうぜ。それと、会社を辞めるとどうなるかわかってるだろうから、つまらないことは考えるな。しばらくは、俺の女でいろ。」
(鈴木の・・・おんな・・・)
涙が出そうになりました。
(なんで、こんな奴の・・・)
「今・・・何時?」
ふと、彼のことが頭をよぎりました。
「今は、土曜の昼前だよ。朝方から、眠ってたからな。」
(連絡・・・取れないから・・・、心配してるんじゃ・・・)
鈴木が立ち上がり、じゃぁな、と言い残して帰っていきました。
TVには、鈴木が見ていたのでしょう、彼らが撮影した私のビデオが流れていました。
(どうして、こんなんことになったんだろう・・・)
そのまま、私はまた眠りに落ちました。
日曜の午前中、インターホンの音で目が覚めました。
モニターを見ると、大家さんでした。
昨晩、シャワーを浴びて眠ったけど、パジャマ代わりの部屋着のままだし・・・。
「・・・はい。」
「あっ、休みの日にごめんね。ちょっと大丈夫?」
「あっ・・・はい」
私は、玄関のチェーンを外し、ドアを少し開けました。
以前から顔を合わすと、いやらしい目で私を舐めまわすように見るので、警戒はしていました。
「朝からごめんね。まだ寝てた?」
「いえ・・・。で、何か?」
「いや・・・、これと言って吉田さんには関係ないと思うんだけど・・・。昨日、他の部屋の人から、夜中に大きな声を出している部屋があるから、注意してほしい、って話があったんですよ・・・」
「・・・!」
「吉田さんは、気にならなかった?」
大家さんは私越しに部屋の中を盗み見ながら、薄ら笑いを浮かべました。
「い・・・いえ、私は夜に帰りましたが・・・特には・・・」
「そう。じゃぁ、他の部屋かなぁ・・・。なんでも、女性の悲鳴みたいな、なんかあの時のような声だ、ってことだったから、何か事件とかだったらと思ってね・・・」
「私は、大丈夫ですよ」
「そうですか・・・。まっ、何かあれば言って下さい。それと、くれぐれも他の部屋に響くような声は出さないでね。って、吉田さんは一人暮らしだからそんなこともないだろうけど・・・」
大家さんはそのまま笑いながら、エレベーターに向かって行きました。
ドアを閉めて、大きく溜息をつきました。
(大声上げて・・・)
鈴木の言葉が、蘇りました。
(この部屋にも居られなくなる・・・)
その日は幸いにも天気が良く、汚されたシーツ等を洗濯をし、過ごしました。
午後には彼から連絡があり、夕食をともに過ごしました。しかし、彼の誘いには、「生理だから・・・」と嘘をついてしまいました。
彼のことは好きです。でも、さすがに誘いを受け入れられるほどには、心は回復していませんでした。
月曜日から、気が重いまま、会社に向かいました。
(このまま、どうなってしまうんだろう)
毎朝、毎朝、同じことを考えながら、通勤しました。辞めるにも、あの課長に辞表を出す必要があり、そうなれば、鈴木の耳にも入ることは確実です。
1週間の間、鈴木、平野、竹田が顔を見せることはありませんでした。
でも課長はことある毎にロビーに下りてきては、「鈴木には手を出さないように言われたけど、いつでも連絡してくれたら、相手してあげるよ。」とか「写真もあることだから、何かあったら、呼び出すからね。」と、いやらしく笑いながらも脅しをかけてきました。
でも、実際に手を出してくることはありませんでした。
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