妄想9話……
何時もの見慣れた街並で車は停車する。
「ここで…お別れね…」
悪女は最後に濃厚なキスを男に捧げ微笑む。
そして車から降り立ち後髪惹かれる想いで男は家路に着いた。
自宅に戻る前に 女の家の前で立ち止まる男。
誰も居る気配の無い女の自宅…
男は何故か寂しさを感じるのであった。
そうして男は自宅に戻り あの壮絶な女の逝姿を回想する。
あの逝顔…
そして あの痴態…
男は壁に貼った何喰わぬ日常の女の素顔の盗撮写真を眺めながら逝顔と重ね合わせた。
今頃は もっと過酷で淫らな責めを受けているのかも…
男は そう考えるだけで股間が再び熱くなる。
そうして一睡もする事も無く 女の拘束が解かれ 帰宅するのを窓越しに待ち続けた。
約束なら48時間…
何事も無ければ 夕刻には戻るはず…
男は女の自宅を窓越しに ただ 時が来るのを待ち続ける。
そして 午後を過ぎ夕刻前の頃…
男の自宅のインターフォンが鳴った。
「お届け物です」
玄関外には宅配便では無い普通の男の姿があった。
「あ…はい…」
男は戸惑いながらも対応した。
「例の品物です…」
男は それだけを告げ 小さな小包みを男に手渡し 無言で立ち去った。
男は意気なりの小包みを呆然と受け取るだけで声も出せなかった。
【例の品物】
男は その一言で総てを理解し 慌てふためきながら小包みを開箱した。
「あ…ぁあ……」
中に入った数枚のDVDを確認した男は声にも成らなかった。
遂に送られて来たDVD…
別れ際に約束した通り 早速にも送られて来た喜びと驚きが男を歓喜の渦が包み込む。
慌てながらDVDをプレーヤーにセットする男。
男が欲する唯一の物…
それは 倉庫を去った後の女の運命…
貪るようにDVDを早送り再生し有無の確認をする男。
何枚かのDVDを確認した時…
遂に それらしき映像に辿り着く。
あの最後の壮絶な逝姿を納めた場面…
ビクビクっと大きく痙攣させながら白目を剥き 口から泡を噴き逝き果てた女の姿。
そうして 暫らくすると…
扉から2人の男が入って来る。
「後は この女 お前達に任せたぞ…女に産まれて来た事を悔やむまで堕としてやれ…」
散々 女を楽しんだ男は男達の肩を叩き部屋を後にした。
「へへ…美人が台無しだ…見ろ…この逝果て顔…泡噴いてるぜ…」
髪を掴み頭を起こし上げ、泡を噴く女の逝果顔を嘲笑う男達。
「よし…準備だ…バッグをよこせ…」
先の男が持ち入っていたバッグを見開き 中身の総てを手荒く床に散開させた。
束ねた和縄が幾つも入っていた。
「もう 面倒臭えから 意気なり強烈に縛りあげろ…緊縛女優も悲鳴あげる縛りを掛けな…」
そうして女は強烈に緊縛され転がされる。
股座に食い込む和縄が強烈に陰唇を圧し潰し恥骨を絞め上げる。
人間の限界を越えた強烈なる緊縛体位…
軋みを上げながら白き裸体に絡み付く和縄…
そうして 強烈で過酷な緊縛拷責の幕が揚がる。
それは もう 尋常では無い責めが女を襲った。
逝薬と共に強烈に絞まる和縄の洗礼と過酷な緊縛体位…
人間の限界を越えた過酷な体位からの身体の悲鳴すら 逝薬は心地好さを女に与えた。
縄に墜ちる女…
先以上に壮絶な逝姿が そこには存在した。
DVDを食い入るように鑑賞する男は何度も何度も マスターベーションに溺れた。
もう完全に男の脳裏には卑劣な企みが沸き上がっていた。
何度も何度も繰り返し再生しては見る毎に その想いは一層強まった。
そうして男は欲望を剥き出しに女の帰宅を心待ちにするのであった。
既に辺りは陽も沈み 夜の街にと変わっていた。
窓越しに女の自宅を見つめる男。
明かりの点いていない顕らかに留守の女の自宅。
男は時計に目をやった。
「遅いな…もう戻っても良い頃なんだが…」
男が不安に刈られ時計を確認した時であった。
1台のタクシーが路地に入って来た。
「ん…?」
男はタクシーに神経を集中させた。
すると女の自宅前でタクシーは停車した。
暫らくし後部扉が開く…
降り立った乗客は正しく女であった。
事務制服のままの姿…
しかし上着は不自然ながらロングの白いTシャツ…
生足にサンダルと言う あの美容姿にして貧疎な姿…
しかし男には その姿の意味する物が総てを物語っている事に興奮を覚えた。
そして女は覚束ない足取りで自宅に消えて行く。
何事も無かったようにタクシーは走り去り 玄関に消えた女を送り届けた。
そして2日振りに女の自宅に明かりが灯る。
男はDVDを手に薄ら笑みを浮かべた。
「待ってな…すぐ…行くから…」
男は居ても立っても居られ無く 即座に行動に出るのであった。
忌まわしいキャプチャー画面を何枚も印刷しDVD片手に女の自宅に足を向けた。
自宅前で大きく深呼吸する男…
そして震える指先でインターフォンを押す…
暫らく沈黙が闇を包んだ。
そして…
「は…はい…」
女の声がインターフォン越しに聞こえた。
「町内会のお知らせを…」
「あ…は…はい…今 開けます…」
疲れた声で応対する女の声が男を更に興奮させた。
そして…
玄関扉が開いた瞬間…
「な…何ですか? 意気なり!」
男は興奮の余りに玄関に強引に入り込んだ。
「お帰り…徳子さん…」
「何ですか! 貴男! 警察呼びますよ!」
「何…言ってるんですか…徳子さん…俺は全部知ってるんだよ…ほら…これ…」
そうして用意した印刷物を見開き女に見せた。
「………?? 何ですか? これは?」
「とぼけても無駄だよ…」
「な…何? 貴男? だ…誰か!!!! 警察!!!」
男は女の叫びに無我夢中で口を封じ抑え込み 押し倒す。
「んぐぅ!!!!!!!」
「もう我慢出来ねえ!!」
逸る男は玄関ホールで女を押し倒し襲ってしまうのであった。
「きゃぁ!!!誰か!!!助けて!!!」
廊下を這いつくばり逃げ惑う女を追い掛け馬乗りに抑え付ける男。
「いゃぁ!!!!!!!!」
悲鳴をあげる女。
男は薄着のTシャツを引き破る勢いで乱暴に引き脱がせた。
ブラジャーも身に付けない上半身の裸体を顕にさせた女。
「いゃぁ!!!誰か!!!誰か助けて!!!!」
女は乳房を手で隠しながら叫ぶ。
もう男には近隣に女の叫びが聞こえようが 崩壊した理性は動じる事は無かった。
そして…
スカートに手を掛け引き脱がせた瞬間…
男の動きがピタリと止まった。
「う…嘘だ…」
男は女から飛び離れ震えながら後退りする。
「ち…ち…違う…違う…あ…あわ…あ…あ…」
男は震えながら意味不明な言葉を放ちながら 足を絡ませ転げながら玄関を飛び出して行った。
「あわ…あ…あ…嘘だ…嘘だぁ……」
転がり逃げるように玄関を飛び出した男…
そこには…
通報で駆け付けた警察官がいた…
「違う!! 違うんだ!!!!!」
男の叫びは赤いパトライトの中に虚しく掻き消える。
男が見た物…
それは…
顕らかに男が見た あの痴態を曝けた女の裸体との違い…
下腹部に刻まれた母となった証の聖なる傷の存在…
あれは夢か幻だったのか…
翻弄された男の結末であった。
完。。
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