9.
そして身体的にも色々と心配していたが、一昨年、無事に娘も生まれ、お互い
親になった。
あのレイプの日以降、彼女は表向きの笑顔はあったものの、本当の笑顔を見せ
る事は一度も無かった。
だが、ずっと封印されていたその爽やかな“菜々美スマイル”は、娘が生まれ
てから時折り見られるようになった。
彼女の消えていた灯を娘が再び点けてくれたのだ。
娘は彼女に似ていて、将来、間違いなく可愛い女性になると思う。
あんな事を自ら経験している僕は娘には人の何倍も強烈に厳しい父親になるだ
ろう。
親になって娘への思いというのが分かり、彼女のご両親にも申し訳ない事をし
たと改めて反省している。
学生時代に助けるどころか、一緒に便乗して彼女を無茶苦茶にしてしまった。
女性としての不幸を沢山背負った彼女には「僕が一生かけて幸せにする」では
ダメだと思う。
それでは足りない。
もし年老いてから幸せになっても幸せで居られる時間が少ないからだ。
「僕が彼女に幸せな生活を一生送らせ続ける事」が彼女とご両親へのせめても
の償いのように思っている。
彼女は外見だけでなく中身も、人として、女性として、母として、妻としても
最高だと思う。
そして母親になった彼女は強くたくましくなったと感じる事も多くなった。
しかし、セックスにおいては今でも彼女は僕の言いなりだ。
でも日常生活面においては今では僕は彼女の言いなりだ。
あとがき
毎年、5月末になるとお互いがあの日の事を特に思い出します。
妻の「人生最悪の日」として。
当時からの僕が見て思っていた、感じていた本音を書きました。
例え女性がその時に感じたとしても、それは身体的構造上、仕方のない事で
す。
以降、その女性の人生を破壊し、決して元には戻せません。
レイプは人間を潰す卑劣な犯罪です。
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