美沙子に見送られ部屋を出る松木、店を出て近くのコインパーキングに停めていた車に乗るとオーナーへ電話をかける、オーナーはすぐに出た
「もしもし俺、松木だけど、今ちょっといい?」
「大丈夫だ、で?どうした?」
「美沙子ちゃんに若い彼氏が出来たと言ってるけど……なんか心配になってオーナーなんか知っている?」
「ああ、聞いてるけど美沙子なんか言っていたのか」
「名残惜しいけど俺はもう美沙子ちゃんもいい加減“こっち”から卒業してほしかったから彼氏ができた話を聞いて嬉しくてつい…つい結婚するか聞いちゃって…それでそれがどうも地雷だったみたいで…その時の美沙子ちゃんの顔が…ちょっと気になって」
「松ちゃんの感はよく当たるからな。、松ちゃんがそう思うなら少し調べてくれるか? 頼む」
「ああすぐ調べるよ、で、もし相手に問題あったら、どうする?」
「その若い彼氏が一時の熱で美沙子に夢中になってるだけなら、そのうち飽きるだろう、その時は美沙子をフォローするさ、もし本当に美沙子が結婚することになったら……いい機会だ、今度こそ美沙子に店を辞めてもらう、多分嫌がるだろうから、死ぬまで男一人ぐらい養えるほどの退職金を持たせて店から追い出す、そして絶対この世界に帰ってこられないよう上にも頼むつもりだ、そしてもしその若い彼氏とやらが」
そこまで言うとオーナーの声のトーンが変わる。
「美沙子をハメようとしてるなら……松ちゃんまた片付けるのを手伝ってもらうよ」
同じ頃、仕事帰りに会社近くのベンチで宏道はタブレットを開き、風俗サイトのページを表示した。
先輩が隣に腰を下ろし、缶コーヒーをすすりながら画面を覗き込む。
宏道は指で一枚の写真を指さした。
「この女です」
画面には、よくある手で顔を隠した下着姿の嬢の写真、黒いレースのブラとショーツに包まれた身体は、プロフ通りの形の良いFカップの乳房、ブラで深い谷間が強調され、腰のくびれから尻にかけての曲線が、豊満で色気たっぷりに写っている。
太ももも太く柔らかそうで、35歳とあるが実際は風俗ではサバを読むのが常識だ、それでも年齢を感じさせない艶めかしさがあった。
先輩は思わず息を吐き、本当に羨ましそうな顔をした。
「マジでエロいな……書いてある通りならこの女のAVもあるのか、こんな女捕まえたのが本当なら羨ましいぜ」
目が細められ唇が緩んでいる、お世辞でなく心から羨望が滲んでいた。
「なぁ、今呼んでみせろよ、生で見たいぜ」
先輩の催促に宏道は自慢げにスマホを取り出し、保存してあった番号に発信した。
呼び出し音が鳴る。一度、二度、三度……出ない、ふと宏道が画面を見ると、サイトの出勤情報が「出勤中」と表示されていた。
宏道は小さく舌打ちをして
「先輩すみません、美沙子は今仕事中みたいです。昨日はたまたま仕事終わりに掛けたから繋がったみたいで」
先輩はさっきまでと違い疑いの眼差しで宏道を見た、唇の端が上がらず、じっと相手の顔を観察している。宏道の言葉を、すぐには信じない様子だった。
それから数時間後、美沙子は退勤する時に宏道からの着信には気づいた、すぐにでも宏道の声を聞きたかったが0時を過ぎていたこともあり、迷惑を考えてあえて我慢してそのまま自宅マンションに帰るといつものようにシャワーを浴びてベッドで横になる。
そうして夢の中にいるとプライベート用のスマホが鳴った。
営業用のスマホと違い、この番号を知っている人は片手で足りる、そしてその人達は美沙子の仕事を知っている、なのでまずこんな時間にかけてくる人間は一人しか居ない、美沙子はスマホを手に取ると相手も確かめずに通話をいして耳に当てる。
「宏道くん」
「うんそう、あのさ、美沙子今日会いたい来てよ」
美沙子の都合など考えない宏道の言いよう、それでも美沙子はこの声ですぐにでも会いに行きたかった、だが美沙子は困ったように息を吐いた。
「ごめんね、今日は3時からラスト、12時までなの、それから会うと宏道くんの仕事に支障が出るから…だから……我慢して?」
「でも会いたい」
駄々っ子のような声だった。甘えて、求めて、母親にせがむような響き。美沙子の子宮が、きゅっと収縮した。
しかし、美沙子の出勤は金土日とランダムな平日1日の週4日、これは美沙子がオーナーにお願いしている出勤日数であり、簡単に休む若い娘と違い美沙子は今まで急に休んだことがなかった。
勿論、宏道に呼ばれたら休んでも会いに行きたかった、今日始めて急に休むと言っても店長とオーナーは快諾してくれるだろう、しかし、オーナーが美沙子に恩を感じているように美沙子も今まで世話になってるオーナーに同じぐらい恩を感じているので簡単に休めなかった。
「ねぇ明日は?明日は休みだし明後日も休みだから、明日宏道の仕事が終わる頃に会いに行くわ、そしたらどっかでまだお泊りして…
「じゃいい」
美沙子が話している途中で電話が切れた、宏道を怒らせたに違いない、美沙子は泣きそうになりながら掛け直したかったが時計を見ると9時近く、美沙子と違い普通の会社員の宏道はもう会社だろう、美沙子から掛けてタイミング悪く宏道に迷惑を掛けたら…そう考えると発信ボタンを押せないでいた。
もしかしたらこれで宏道との繋がりが切れるかもしれない、そんな事を考え、泣きそうな顔になる美沙子
するとスマホが鳴る、宏道からだった、急いで出る美沙子
「あ、宏道くんごめんね、本当にごめんね」
「もういいから、それじゃぁさ、美沙子のHやつでセンズリしたいからオナってるとこ撮って送ってよ」
美沙子の声を無視して自分の勝手な要求を言ってくる宏道
「それでいいなら送るから、すごくHなの撮って送るから待って…」
「じゃ待ってるから」
そう言って今度も美沙子の返事を最後まで聞かない電話を切る宏道、それでも美沙子はベッドから降りると宏道の為、ドレッサーの前に座り、メイクを始めた。
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