葵はその体勢のまま、時折身体をヒクヒクさせている。
今この瞬間も焦らされていると思ったのだろう、葵は俺の尻辺りに手を回し、動いて、とばかりに体を引きつけた。
俺はゆっくりと腰を動かす。
その動きに合わせ、葵の口から、
「はあぁ…ううんっ…はあぁ…」
動きに合わせるようにリズミカルに吐息が漏れる。
少し動きを早めると、顔を少ししかめながら受け入れている。
奥まで打ち付けるように突きを続けると、
「あううっ!…ダメッ!そんなに…強くしたら…あううっ!…こ、壊れるうっ!…」
繋がった身体から離れると、葵は荒い息のまま横を向いた。
その葵の尻を引き上げ、尻を突き出させた。そして、むんずと尻を掴み、バシッ、っと音が出るくらいの勢いで強く突いた。
「あああっ!…はああぁっ!…」
一気に突く度、悲鳴のような甲高い声が部屋中に響く。
背中に唇を這わせて、肩越しに耳を甘噛みすると葵は肩越しにキスをねだる。
後背位のままの苦しい体勢で、キスをした。
「ねぇ…、中に…お願いします…」
「またデキちゃうぞ…」
葵の思いがけない言葉に俺は、あたかも光琉が俺の実の子供であるか確信しているように答えた。
「また…崇さんに上書きしてもらう…」
そんな大胆な答えだった。
「いいんだな…それで…」
葵がそれに頷いたと同時に、一気に突き上げる。
「やああぁっ!…いっ、ひっ、ううっ〜」
叫び声に近い声を上げ、葵は頭を下げながら必死に突き上げに耐えている。
上書き…葵が申し出たその言葉、以前は俺がそうしろ、と指示したようなものだった。
その結果妻も息子も欺き、生まれた子供が光琉だとしたら…
そんな罪悪感のような感覚と、上書きと称して崇に抱かれる葵の姿、それに嫉妬してしまう自分にやるせない気持ちに俺はなっていた。
「ダメダメッ!…あぁ…イッ!イッ!…んんっ!んんんっ!…」
その瞬間、葵の中にまた熱いものが放出されたのだった。
俺達は荒い息のままベットに横たわった。
葵の身体は、時々ピクつくようだった。
俺は天井を見ながら、これからどうなるのか先行きも見えないままただ一点を見つめているしかできなかった。
それから数年後
俺達家族はこれまでと何もかわりなく、穏やかに生活していた。
光琉は保育園に行くことになり、葵は日中家の事と店の事を手伝い、夜は光琉の世話をするということが多くなり、店にはあまり出なくなってきた。
俺達は光琉を預けている時間帯に、合間を見て家で、またはホテルで今までのように情事を重ねていた。
その都度葵は、崇に上書きと称して抱かれているのだ。
夜、布団に入りながら夫婦の部屋でのその光景を思い浮かべるたび、嫉妬と無力感のようなものに苛まれる日々だった。
そんなある日
店も客が引き始め、妻は先に上がり息子は裏の方で仕込みを始めた。
俺はつけ場に入りながらカウンターの常連さんと話をしていた。
「親方、葵ちゃんは最近大丈夫かい?」
「ええ、しばらく夜は孫の面倒と家の事に専念してもらおうと思いまして…身体は至って元気ですよ。」
そう言うと常連さんは声を潜めて、
「いや、そういうんじゃなくて…」
そう何か言いたげな雰囲気だった。
そして常連客はスマホを出し、なにかを探し始めた。そして思い切ったように切り出した。
「これ見て…ネット投稿サイト…」
俺はスマホを手に取り見た。
それは、いろんなジャンルに対してお題を上げ、それに投稿するサイトだった。
その中には地域別の投稿するものがあり、この街の所をタップしてスクロールすると、「◯◯寿司の若女将」というタイトルが出てきた。
◯◯寿司の若女将、つまり葵の事だ。
「これは…なんですか…?なんでうちの店のが…葵の事がこんな所に…」
「そう言うのがあるんだよ、親方…」
常連客はそう言って、酒を一口飲んだ。
「こういうのがあるんだよ…いろいろな人やものに対してろくでもない、それも不確かな情報を書き込んで、それを面白おかしく言う輩たちがね…」
その時、息子が戻ってくる気配がしたのでスマホを返し、常連客にそのサイトを教えてもらい、家に帰ってから改めてまた見ることにした。
息子と家に帰ると葵はいつもと変わらず、
「お帰りなさい!お疲れ様でした。」
と、屈託のない笑顔で迎えてくれた。
夜、皆が寝静まった頃俺はリビングで教えてもらったサイトの葵の事に関しての書き込みを読んだ。
以前情報誌に載り、いろんな所に顔を知られてしまった若女将は格好のネタの餌食となったのだろう。
いろんな書き込みがあった。「可愛い」、「素敵な女将さん」等、嬉しい書き込みもあったが、中には「ヤリたい」「この女将ならバンバン子作りしちゃう」等、本人でなくとも憤りを感じるものが多かった。
読んでいて気分が悪くなってきたところにある書き込みが目に止まった。
「女将に似た人と年配の男性がラブホに入っていくのを見た。」
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