第五章:家族旅行(2) 白いスコートの風
高原の午前は、静かに満ちていた。
テニスを終えた二人が別荘に戻ると、空気は汗と陽光の
匂いを孕んでいた。
白いスコートの裾が風に揺れ、ピンクのポロシャツが肩に沿う。
美香はキッチンに立ち、麦茶を注ぎながら、背中で静けさを受
け止めていた。
泰三はソファからその姿を見ていた。
視線は、彼女の肩の線をなぞり、腰のくびれに留まる。
かつての記憶が、今の彼女に重なり、過去と現在の境界が
曖昧になる。彼は立ち上がり、静かに背後へと歩み寄った。
「すごく綺麗だよ、美香」
美香は振り返り、笑った。
「何言ってるのよ。もう若くないんだから」
「若さじゃない。今の君は本当に綺麗だ」
彼女は少しだけ目を伏せた。
「汗でベタベタよ。見ないで」
「見てるよ。ずっと見てる」
その言葉に、美香は息を呑んだ。
泰三の腕が彼女の腰に回る。
一瞬、彼女は身を引いた。
「だめよ、こんなところで…」
「誰もいない。風しか聞いてない」
「でも…大樹が戻ってきたら…」
「今は、君と僕しかいない」
冷蔵庫の脇に、美香は背を預ける。
泰三の手が、ポロシャツの裾をそっと持ち上げる。
その動きは、風が葉をめくるように静かで、ためらい
がちだった。肌に触れる空気が変わる。
光が、彼女の胸元に落ち、白い布地の下に隠された
輪郭を淡く浮かび上がらせる。
泰三の指先が、布の境界をなぞる。
衣擦れの音が、沈黙の中で小さく響いた。
彼の唇が、彼女の肌に触れる。
それはキスというより、祈りのようだった。
「美香…君が欲しい」
「……こんなふうに、抱かれるなんて思ってなかった」
「僕は、ずっと君を女として見てた。母じゃなく、妻として」
「……私も、あなたに触れられると、母じゃいられなくなる、
でも、来て、欲しくなっちゃった」
美香は小さく息を呑み、目を閉じた。
その吐息が、彼の耳元で震えた。
「美香」
その名を呼ぶ声に、彼女は無言で頷いた。
言葉よりも深い了解が、二人の間に流れていた。
彼の手が、彼女の腰に滑り込む。
泰三の指が股間に触れるとアンダースコートはすでに
濡れていた。
純白のパンティーとアンダースコートが静かに美香の腰から
引き抜かれ、肌が風にさらされる。
背後のシンクに手を添えながら、彼女はわずかに足を開いた。
光がその間に差し込む。
泰三のの肉体の一部が、彼女の太ももに触れる。
その接触は、問いかけのようであり、答えでもあった。
「……来て、入れてほしい、今すぐにシタイの」
美香の声は、風の中で震えていた。
それは命令ではなく、願いだった。
泰三は、静かに彼女の背に腕を回し、立ったまま重なった。
「ハア、ハア、ダメ、そこ、感じちゃう」
彼の腰が動くたびに、空気が揺れ、光が踊った。
「深い、深い、もっと、もっと・・・いい、イク、イク」
美香の声が、歓喜と解放の狭間でこぼれ落ちる。
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