係の女性に先導されて、ガラス張りの渡り廊下を二人でチャペルに向かいます。
手にはピンクのバラや白のフリージア、黄色いジャスミンなどの可愛らしいブーケを持って。
チャペルでは小さな明るい控室で待ちました。
二人とも口数は少ないけれど幸せな笑みが浮かびます。
涼次さんが先に案内されて行きました。
そして介添役の礼服の男性が来て、私をドアの前に案内してくださいました。
両開きのドアには、左右一人ずつ係の方が付きます。
係の方がインカムで何か確認すると「おめでとうございます」、それでは開きますとおっしゃいました。
ドキドキが高まります。
しばらくするとドアが静かに開かれて、オルガンの荘厳な響きで結婚行進曲が鳴り響きました。
介添役の方に手をとられて、一歩また一歩と涼次さんの待つ祭壇に向かいます。
参列するのはウェディング姿の坂井さん夫婦だけです。
お二人がこちらを向いて微笑みながら拍手していました。
お二人に軽く会釈して祭壇へと着きます。
そして私は介添役の方から牧師様に引き渡されました。
牧師様が私を涼次さんの隣に並ばせて結婚の誓いをするのです。
汝西山涼次はこれなる西山怜子を、健やかなる時も病める時も、富める時も貧しき時も、また喜びの時も悲しみの時も、妻として愛し、敬い慈しむことを誓うか。
涼次さんは少し緊張した声で「誓います」と答えました。
そして私も同じ問いかけをされて、心を込めて「誓います」と言いました。
牧師様が静かに「それでは誓いのキスを」とおっしゃいました。
涼次さんが私の肩に手をかけて、少し首を曲げながら口づけしました。
短いキスでしたが、少しだけ舌を触れ合わせました。
そして指輪を互いに嵌め合います。
とても神聖な気持ちで涼次さんに妻として仕えることを心から神前に誓いました。
そして牧師様が「ここに西山涼次と西山怜子の結婚を宣します」と結婚宣言をくだされました。
私は涼次さんの妻となりました。
これからは涼次さんに所有していただき、愛を捧げ、仕えるのです。
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