「あなた大変です。」
「何だい、また外人の接待かい?」
「違いますよ。あの本社の人が大事な話しがあるから。といらっしゃるのよ。」
「ええ?俺達お払い箱かな。ここ潰して他のお店にするとか。」
と、この前の接待で使った旅館の家族は戦々恐々と、僕の来館を待っていたのである。
僕は、母と妹の遥香を連れて行き、
「実は、この前の接待が大成功で会社はあの国の大企業と大口の取引が成立したんだ。
それで、あなた達に臨時ボーナスを差し上げる為に今日はきたんだよ。」
僕は、スーツケースを開け、札束を出しテーブルに置いたのである。
(振り込みより、現金で見せた方が人は喜ぶのである。)
母が、
「慎太郎は役員に成ったのよ。奥様のお陰よ。」
妹も、
「お兄ちゃん凄いね。遥香お兄ちゃんの妹で良かった。」
と言ったら、
旅館側の同級生は笑っていたが、手を握りしめていたのである。悔しくてたまらないのだろう。
「ありがとうございます。こんな大金見たの初めてです。あのー、これって本社の指示ですか?」
と、ご主人が言ったので、
「指示には違いないけど、僕が社長に頼んだんだ。あなた達の協力がなければ取引は成立しなかったかもしれなかったから、と言ったんだよ。
素晴らしいおもてなしをしてくれたからね。ありがとうございました。」
と、僕は土下座をしたのである。
「頭を上げて下さい。私達は、承知の上で接待はしました。まさかボーナスまで頂けるとは、逆にお礼をしないと。なんなりとおっしゃって下さいませ。」
と、女将が言ったから、
「これはビジネスだから、お礼はいりませんよ。ついでだからお風呂など館内のチェックをして帰るよ。
母さんと遥香は女湯をチェックして欲しい。女性の視点で見て僕に報告してくれ。
じゃあ女将さん。母と妹の体を娘さんと洗って貰えるかな。これもサービスのチェックですから。」
と、言ったら、妹が、
「お兄ちゃんの仕事のお手伝い遥香頑張る。」
と言ったから、
「宜しくね。お兄ちゃんは、先に館内をご主人達と回るからね。」
と、二人にウインクしたのである。
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