さすがに大樹は緊張を隠せず、先ほどから黙って運転をしていた。
加奈子にしても胸の高鳴りを抑えられずにいた。
あえて行き先を訊ねることはしない。
これから、夫以外の男、しかも娘の夫に抱かれる場所へ向かっているのだ。
いけないことだと分かっている。
でも加奈子も娘のように気兼ね無く声を上げながら、たくましい大樹の腕の中で抱かれたい。
加奈子は娘の女の声を何度も聞いたことがあった。
広くても古い屋敷だ。夫がいない夜など、娘夫婦の夜の営みの声が聞こえてくることがあった。
娘は淫らな声をあげ、時にはけだもののような声で叫ぶこともある。
初めはそのあまりの激しさ驚いていたが、加奈子は次第に理解するようになった。
あの気の強い娘が大樹にはとても優しい。
愛しているから、確かにそれもあるだろう。
だがそれだけでは無い、その激しいセックスに満足しているのだ。
女としての幸せをたっぷりと与えられ、満たされているのだ。
わたしも満たされたい。加奈子は切実にそう思った。
つづく
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