あの母が不倫しているなんて、レナは信じることができなかった。
レナにとって加奈子は理想の母親だ。
品があって美しく、おおらかでいつも優しい母が大好きだった。
そんな母が、あんな男と、、、
確かに逞しい体をしているけども、下品で女癖も悪いと評判の醜い男ではないか。
そんなとき、メールが届いた。加奈子からだ。
これからレッスンの仲間たちと、カラオケに行くことになったので悪いけど先に帰って欲しい。遅くなるかもしれない。そんな内容だった。
やはり、あの男とこれからセックスする気だ、、、ああ、どうしたらいいの?
父や夫には話すことなんて出来ない。
母を説得するにも、もし、わたしに不倫を気付かれたと知ったら、母をすごく傷つけてしまうに違いない。大好きな母に絶対にそんなことはしたくない。
わたしが一人で何とかしてみせる。
レナはそう決心していた。
数日後、レナは明けで帰る村井を駐車場で待ち構えていた。
今日は母の加奈子は所用でジムには来ていない。
帰宅するためやって来た村井に、すかさず声を掛ける。
「村井コーチ、ちょっと話があるんですけど、いいですか?」
村井は少し訝しげな顔をして、聞いてきた。
「レッスンのことかな?」
レナは単刀直入に答える。
「違います。母のことです。」
「えっ、、お母さんの、、レッスンのこと、かな?」
驚いた村井は何とか話を誤魔化そうとする。
「わたし、知っているんです。コーチと母のこと、、、」
「なんのことを言っているのか、、、」
「誤魔化さないで下さい、母にあんなこと、、、母と別れて下さい、、、」
村井は何とか気を取り直して言った。
「わかった、話をしよう、立ち話もなんだから車に乗ろうじゃないか。」
「えっ、でも、、、」
レナは躊躇する。
「二人で話しているのを他の誰かに見られてもいいのか?」
「わ、わかりました。」
二人は村井の車に乗り込んだ。
最初は動揺した村井だったが、すぐに自分のペースを取り戻していた。
「さっきの話だが、君のお母さんとの関係は認めよう。けどお母さんとは別れない。」
「ど、どうしてですか?」
「元々、お母さんのほうから、俺を誘惑してきたからだ。」
いけしゃあしゃあと村井は嘘をついた。
「嘘です!そんなはずありません。」
「嘘じゃあない。お母さんが女として寂しさを感じていて、俺に思いっ切り抱いて欲しいと誘ってきたんだ。」
「そんなこと、絶対嘘です、信じません。」
「別に信じなくてもいいさ、でも加奈子は俺に夢中だ。俺だって、あんないい女なんだ、何回もオマ○コしているうちに情が移ってしまうに決まっているだろう。」
「イヤ、イヤらしいこと言わないで下さい、母のこと、呼び捨てにしないで、、、」
「なに言ってるんだ、いつも、あいつほうから誘ってくるんだ、加奈子にオマ○コしてぇ、てな。俺達はお互いに納得して楽しんでいるんだ。だから放っておいてくれ。」
「そんなこと母が言うわけありません。絶対に嘘、あなたが無理やり関係を続けているに違いありません。」
「それはないな、こちらには証拠がある。」
「証拠?」
「ああ、俺の部屋に来たら、見せてやってもいい。」
レナは、拒絶した。こんな男の部屋に行ったら、何をされるか、、、
村井は、別に見て欲しい訳じゃあない。来なくてもけっこうだ。とにかく加奈子は俺に夢中で、俺が無理やりなんてことは一切ない。と言い張った。
そんなはずはない。レナには絶対にそんなことは信じることができなかった。
でも、そこまで言われると、その証拠というものがとても気になる。
無理にそれを餌にして、部屋に連れ込もうとしていないのも気になる。
このままでは二人のことをどうすることも出来ない。
レナは逆転をかけて、その証拠にかけてみることにした。
絶対に騙されない、絶対にあらを探し出して、追求し、母と別れさせて見せる。
二人は村井の部屋に向かった。
つづく
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