大樹の視線を感じながら、加奈子はグラスを傾けていた。
「このワイン、すごく美味しいわ。」
「良かった、これ、いつかお義母さんと二人で飲みたいと思って、買っておいたんですよ。」
「わたしのために、、、嬉しい、、、」
「俺の方が嬉しいです。お義母さんの綺麗な顔と、セクシーな姿を見ながら、飲むことが出来て、、、」
恥ずかしいと思いながらも、加奈子の胸が暖かくなる。
優しい言葉をかけてくれる大樹だが、加奈子の体に注がれている視線には、男の欲望が込められいる。
わたしを欲しがっている目だわ、嬉しい、、、
でも、明里のことはやはり気になる。
加奈子はワインを重ねるうちに、益々気になり、たずねてしまう。
「ねえ、飛澤さんとは、本当に何もないの?」
「ありませんよ。まあ、何度か誘われましたけど。」
「あの人、そんなに誘ってきたの?」
「あまり言いたくないんですけど、まあ、、、」
「なんと言って、誘ってきたの?」
「俺のこと、すごくタイプだとか、明里さんのところがずっとセックスレスだとか、口の堅い男がいないかとか、俺のこと絶対に満足させる自信があるなんて言ってましたね。」
「まあ、なんてはしたない、、、」
「まあ、冗談でしょうけど。」
「それにしても、、、」
加奈子は上目遣いで大樹を見ながら訊ねた。
「それで、大樹さん、、断ってくれたのよね?」
「もちろんと言いたいところですけど、、、」
「えっ、ひょっとして大樹さん、まさか?」
「ハハッ、やんわり断りました。正直、あんなに色っぽい女性ですし、彼女のプライドもあるだろうし、、、ても俺には加奈子さんがいるから。」
「あら、レナがいるからじゃないの?」
「違います。加奈子さんがいるからです。」
大樹は加奈子を強い瞳で見つめながらはっきりと言った。
それって、娘より、わたしのことが好きだということ?
胸が苦しいほど熱くなった加奈子は思わず声にだして訊ねてしまう。
つづく
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