長い間の念願だった、義母との関係を結んだ大樹だったが、悪い予感が的中してしまう。
義母の加奈子が大樹との距離をとるようになったのだ。
表面上は以前と変わらない態度で接しているが、明らかに二人きりになる機会を避けようとしているのがわかる。
だが、大樹は焦らず時間をかけて対処することにした。
もとより、すべてが理想の女である義母を手放す気はもうとうない。
加奈子にしても大樹が嫌いになったわけではなく、罪悪感にさいなまれてのことだと分かっていたからだ。
だから大樹は以前と変わらない態度で家族に接した。
ただ一つ、義父母の前で以前よりも妻のレナとイチャイチャするようにした。
義父には孫ができる日も近いなとからかわれ、加奈子は表向きは微笑んでいたが、時折寂しげな表情を浮かべるようになった。
そして義父が留守にした夜は、以前にも増して激しく妻のレナをだき、義母に聞かせるために大きな声をあげさせつづけた。
そしていつの間にか立場は逆転し、加奈子が大樹を見つめる視線を感じることが多くなっていった。
大樹はあえて見つめ返すことはせず、視線を反らすようにしていた。
加奈子はそんなとき、他の家族は気づかれないよう、さらに寂しげな表情浮かべるようになっていた。
そうして、ひと月ほどたったある日、義父と妻がそろって不在となり、二人きりで過ごさなければならない夜がやってきた。
つづく
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