ユカリは綾乃が帰っても気分が晴れなかった。
考えるほどに不安が広がってくる。女子生徒よりも綾乃のことが気になる。
どんな話をしていたのだろう?
二人きりにした自分に後悔していた。
直人君なら大丈夫と言ったときの綾乃の顔、今思えばあれは女の顔だった。
ユカリの不安はどんどん膨らんでいった。
二人で夕食をとっているときに、
何度も訊ねてみようと思ったが、出来なかった。
聞くのが怖いという気持ちもあったし、直人が正直に答えてくれるかどうか不安だったからだ。
綾乃は連絡して聞くことも考えたが、本当のことを言うはずがないと思い直した。
ユカリはモヤモヤした気分のまま、直人に先にお風呂に入ってよいかたずねる。
直人はあとで入るからいいよと答えた。
直人のなんとなく嬉しげな態度に、きっと今夜もわたしの下着を持ち出す気なのだと嬉しい気持ちになり、少しだけ気分が晴れる。
お風呂に入りながら、やっぱり何とかして直人から聞き出そうと決心する。
脱衣所に出たユカリは、今日一日身につけ、自分の匂いと汗を吸い込んだ黒の下着を洗濯カゴの一番上に目立つように置いた。
まるで持っていってくださいと言わんばかりの下着のさらしかたにユカリの顔が熱くなる。
恥ずかしいと思う、でも直人に持っていって欲しい。
もう一度、直人に女として求められている自分を確認したかった。
つづく
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