★ 身体変化とカミングアウト(3)
ひかるは、真剣に悩む。どうしてこうなったか?今後、どうすればいいか?
どうしてこうなったのか?...改めて考えてみると、よくよく思い当たることは一つだけだった。
が、それが理由だという確証や証明を家族や第三者に納得してもらうにはあまりにも非現実だと思えたからだ。
でも、最低、家族には理解してもらいたいし、≪自分が自分である。≫ということをまずはわかってもらうことが先決という結論に達した。
母:彩(あや)は、現在40歳。近くの食品店でパート勤め。一定した夫の収入でも、食費、教育費の高騰で、家計的にかなり心配なことに
加え、多感な時期を迎える子供たちの家庭での接し方にかなりストレスを抱えていたのだった。
そんな心情を理解してもらえず、結局は、家族に当たり散らすことも多く、家族間では彩は口やかましい存在となっていた。
そんな母であったが、今の≪ひかる≫にとって、彼女は唯一、頼りになる人物であると息子は認識したのだった。
(やっぱり、一人じゃ無理!...お母さんに相談しなきゃ!!)
母の帰宅は夕方17時近く。ひかるは母の帰りを一日千秋の思いで待つのだった。
悩みにとらわれ、数時間。ひかるは、突然動揺する。
少し考えがまとまり、落ち着きを戻しつつあった頃、尿意を覚えたのだった。
女子が座って用を足すことは、知識として理解していたが、なにせ長時間、悩んでいたせいもあり、尿意を覚えてからの
切迫度は、男子の比ではなかった。
慌ててトイレに駆け込み、トランクスをおろしたとたんに、ソレは勢いよく排出されていった。
安堵感とともに尿意は収まったが、改めて女子の性器が自分の理解する位置とはかなり違っていることに動揺を感じたのだった。
【女子】になりたてのひかるに、女性の陰部の知識は皆無に近いものだったからだ。
陰部を中心に、自らの部分と便器を汚し、ひかるは思う。
(今度から、オシッコしたくなったら早めにトイレに行かなきゃ!)...っと。
玄関近く、母の帰宅のベルが鳴って緊張するひかるだった。
~つづく
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