一人で石段を上がって行った息子が戻るまで、和子は永遠と思われる位に長く感じた。
死にそうな寒さや濡れて絞まってきた荒縄が肌や粘膜へ食い込む痛さも耐えきれなかったが、何よりも、もし誰か来たら!と言う恐怖だった。
しばらくして、石段を降りてくる足音が聞こえた。
佑ちゃんかしら?
佑ちゃんじゃなかったら?
裸で縛られてる私は逃げられないわ。
見つけた人は、私を犯すかしら?
いえそれよりも、私は集落の人皆から、変態だって言われて、もう二度と生まれ育った故郷には帰れなくなる。
それよりももっと恐いのは、私をこうしたのが息子の佑ちゃんだって分かったら、佑ちゃんも変態って言われるだろう。
公然ワイセツとかで、警察が呼ばれて、二人とも逮捕されるかも。
和子は気が狂いそうだった。
足音の主がもうすぐ直接見える所まで来た時、恐怖と緊張のあまり立ち上がったが、その瞬間和子は失禁した。
股間にきつく荒縄を食い込まされていたから、シャーッと勢いよくは出なかったが、おしっこは荒縄の隙間から太股の内側を伝って足を流れ落ちた。
「お母さん、誰も居なかったよ。」
佑樹が放置していた母に声を掛けた時、母の下半身からは白い湯気が上がっていた。
佑樹は直ぐに何があったのか察知した。
「お母さん、寒かったから仕方ないよね。
大丈夫だよ。
神様の前に行く前に、もう一度水で洗ってあげる。」
そう思うと、佑樹は再び氷が張り始めた水槽に柄杓を浸けて、その水を和子の身体に何杯も掛けたのだった。
そして身を清められた和子は、再び息子から荒縄をしごかれて、残った石段を上がって行った。
境内は拝殿の裸電球が点いたままで、明るかった。
それと、境内の真ん中に掘られた大きな穴の中で、太さが40センチ以上あるような大きな木が燃やされた焚き火の痕があり、二人が来た時は既に炎は上がっていなかったが、その太い木は赤々と炭火のように暖かさを周囲に放ってくれていた。
焚き火の周りには、椅子代わりの太い丸木が幾つか置かれ、近くには集落の人達が酒を飲んだような痕があった。
「さあ、神様にお参りしよう!」
佑樹は和子を引っ張って拝殿の正面に立った。
「お母さんは手を縛られて柏手が打てないから、そこでしゃがんで拝んで。」
と息子から言われ、和子は石畳の上にゆっくりとしゃがんで正座した。
正座する時も、濡れた荒縄が股間を激しい虐めた。
チャリンとお賽銭が投げ込まれる音がして、続いてパーンパーンと息子が打つ柏手が響き渡る。
まだ夜明けまで幾らか時間があるから、元旦と言うより大晦日の深夜と言うべきだろう。
そんな神聖で特別な夜に、私はこんな恥ずかしい惨めな姿で神様にお参りしてるんだ。
和子の両目からは熱い涙が溢れた。
それでも正座して頭を下げながら、和子は神様に願い事をした。
どうか息子に可愛く健気な嫁が来ますように。
それまで息子が、こんな性癖を普通の娘さんにしてしまって、警察沙汰等になりませんように。
息子に似合う娘さんがお嫁に来るまでは、これまで通り私が息子の性癖を受け止めさせていただきます。
心からそう願ったのだった。
※元投稿はこちら >>