学校前で横断旗を振るおじさん、お肉屋の店長さん、コンビニの店員さん、親戚のお兄ちゃん…。
いろいろと考えていたけれど、自分から声をかける事はさすがに出来なかった。
ヒロトにそれを相談すると、少し考えてから口を開いた。
『おじさんがいいの?』
「ん~…ヒロトくんやお兄ちゃんより上の人とかがいいかなぁって思って」
『……そうかぁ。』
「できればヒロトくんとかが知らない人がって思ったんだけど…」
『うん、……わかった』
ーーーーー
相談してからすぐヒロトは相手を見つけた。
ある日曜日、ヒロトに伝えられた時間に駅のロータリーの隅で待っていると、高そうな車が横に来て止まった。50歳くらいの優しい顔の人が運転席から私に手招きしていた。
近づくと助手席の窓が開き、名前を聞かれた。
[シホちゃんかな?]
「はい。」
[ヒロトくんに紹介された加藤って者だけど]
「はい」
[とりあえず車乗って話ししようか?]
何の警戒もせずに私はその人の車に乗り込んだ。
車は街中から郊外に向かって走っていく。
[シホちゃん、君はおじさんみたいな人怖くないの?]
「え?どうして?」
[いきなり現われて車に乗せて、悪い人と思わなかった?]
「ん~…ヒロトくんの名前が出たし、優しい顔だし…」
[ははは!私はヒロトくんと会った事ないんだけどね]
「え?そなの?」
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