胡蝶しのぶさんに助けられた俺と禰豆子だったが、しのぶさんは俺に厳しかった。あの程度の鬼を一人で倒せないようなら、
十二鬼月などとても相手にできないという訳だ。そこで禰豆子をお堂に残し、昼間に近くの林で特訓をすることになった。
しのぶさんが素早く木と木の間を移動するのを、俺が後から追っかけ捕まえるのだ。最初は簡単だと思っていたが、
しのぶさんの機敏さは尋常ではなかった。いよいよ背中を捕らえたと思っても、ふわりと空中に飛び上がって、勢い余った
俺は木に激突してしまった。いつまで経っても追いつけぬ自分に、俺は自らの不甲斐なさを実感していた。そうだ
呼吸だ、呼吸法を使うのだ。そう気が付いた俺は呼吸を整え、息を大きく吸い込むとしのぶさんに飛び掛かった。
しのぶさんと俺はバタンと地面に倒れた。かなりの速さで倒れたのに俺はどこも痛くはなかった。周りに気が付くと、
そこは木がそこだけ生えていなくて、日の光が差し込んだ地面に菊の花がびっしりと咲いている場所だった。
二人は菊の花の上に抱き合って倒れていた。
「ごめんなさい。だいじょうぶですか。」
「だいじょうぶですよ、私は。それより炭治郎君はけがはなかったですか。」
「はい・・・あっ・・・ごめんなさい。いつまでも抱きついていて。」
「いいんですよ、炭治郎君。もうしばらく、このままでいてください。」
「えっ?」
しのぶさんは地面に倒れながらくるりと向きを変えたから、俺は向き合った状態でしのぶさんに抱きついていた。
俺の顔のすぐ近くにしのぶさんの顔があった。しのぶさんの大きな瞳は藤の花のような不思議な色をしていた。
その瞳を見ていると、森の中の深い泉を覗き込んでいるようで、その中に吸い込まれていくような気持がした。
しのぶさんも俺の目をじっとみていた。しのぶさんはゆっくりと瞼を閉じた。俺はしのぶさんの唇に自分の唇を重ねた。
考えてそうしたのではなかった。すべてが自然の成り行きだった。日の光も、地を覆う花も、木の葉の擦れ合う音も、
すべてが自然であるように、俺としのぶさんも自然に唇を合わせたのだった。しのぶさんがポツリと言った。
「こんなところを禰豆子さんに見つかったら怒るでしょうね。」
「えっ?いや・・禰豆子とおれは兄妹ですから・・・それは・・・」
「隠さなくてもいいですよ。禰豆子さんは炭治郎さんに恋をしていますよ。禰豆子さんの目を見ればわかりますから。」
「・・・・・」
「いいんですよ。私たち鬼殺隊は朝は元気で家を出ても、夜には鬼と戦って帰らぬ身となるかもしれない運命ですもの。
兄妹で愛し合っても、誰がそれを悪く言えましょう。炭治郎君、今度は私に大人のキスをしてくれますか?」
俺は再び唇を合わせ、少しづつ舌を出した。しのぶさんの舌がそれに応えてくれた。しのぶさんの舌は花の蜜のような味だった。
しのぶさんがくるりとからだを動かし、抱き合ったまま、今度はしのぶさんが上になった。しのぶさんは俺の胸に顔を押し当てていた。
ゆらゆらと動く葉の向こうに青空が見えた。永遠にこのままでいたいという思いが込み上げてきたが、それは絶対に叶わない願いだった。
今夜も鬼は無垢の人を食らうかもしれない。鬼を倒してその人たちを守らなければならないのだ。そして、その先に、いつか鬼仏事無惨
を倒して、禰豆子を人間に戻す使命が俺にはあった。その使命は誰も代わることはできないのだ。
しのぶさんが俺の着ている服を左右に開けて、胸肌に頬をあててきた。しのぶさんの髪のいい匂いを俺は吸い込んだ。
「炭治郎さん、ここがこんなに固くなっていますよ。」
しのぶさんがズボンの上から俺の股を優しく撫でた。甘く、そして悲しい気持ちになっていた。再び俺がくるりとしのぶさんの上になって、
しのぶさんの着物の襟を開いた。下着をたくし上げると、しのぶさんの美しい素肌がむき出しになった。
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