鬼を見かけで判断してはいけない。これは鬼との戦いで俺が学んだことだった。鬼は可愛い少年の姿をしていることもあれば、弱弱しい女性の
姿をしていることもある。屈強に見える鬼がかならずしも強いわけではなかった。だが、俺としたことがどうして鬼の匂いに気づかなかったのか。
こういう時は女の禰豆子の方が冷静なのかもしれない。老人の声がした。
「そこにいる人間、出てくるのじゃ。出てこなければこちらから行くまでじゃ。・・うん?もう一人おるのう。人間か、鬼か、それも女じゃの。
まとめてワシが食ってやる。」
俺は刀を構えるとお堂から飛び出した。(全集中、水の呼吸・・・)一瞬俺のからだが空中に浮き、お堂の近くの木に叩きつけられた。見ると
自分のからだが縄でぐるぐる巻きにされて木に縛り付けられていた。老人の動きは全く見えなかった。あとから出て来た禰豆子も縄で巻かれ、
木と木の間に蜘蛛の巣状に張り巡らされた縄の中央に張り付けられた。その姿はまるで蜘蛛の巣に捕らえられた昆虫のようだった。禰豆子は
必死で身を捩って束縛から逃れようとしたが無駄だった。
「これが(血鬼術、縄の虫)、じゃ。いい眺めじゃのう、若いオナゴが縄に捕らわれ身もだえる姿は。」
老人の手が蛇のように伸びて禰豆子の着物を器用に剥ぎ取った。全裸にされ、縄に吊るされた禰豆子は、月の光に白い肌が照らされて、
縄から逃れようと身動きするたびに激しく揺れていた。
「もっと悶えるがよい。その縄のは毒が染み込ませておるのじゃ。その毒とはのう、オナゴの淫乱な情欲を引き出す毒じゃ。(血鬼術、淫欲縄地獄。)」
禰豆子は毒のためなのか全身から汗をかいて、肌が月明りで鈍く光っていた。禰豆子の目はどこを見ているのか虚ろになり、眉間に小さなしわを
寄せていた。老人の長く伸びた手が禰豆子の乳房に触った。
「やめろー、やめるんだー」
俺は有らん限りの大声で叫んだ。俺はからだを縛る縄のせいで呼吸が十分にできず、縄を切る力を出すことができなかった。
禰豆子は必死で抵抗していたが、その動きがだんだんと弱まってきていた。
「ほれほれ、からだが火照ってきたのじゃろう。じきに気持ち良くなってくるからのう。もう少しの辛抱じゃ。」
ついに禰豆子は抵抗の動きを止め、老人にされるがままになっていた。
「そろそろワシのイチモツを入れてやるとするか。(血鬼術、鰻の雫)」
老人の股間から鰻のようなモノがにょろにょろと伸びて禰豆子の股間に近づくと、そこを上下に動いて撫でまわした。繰り返し撫でるうちに、
禰豆子の女陰の割れ目から紫に光る粘液が流れ出て来た。禰豆子は毒に麻痺させられたのか、もうろうとして苦しげな息遣いをしていた。
老人の股間から伸びた黒いモノは鰻のようにくねくねと動いて禰豆子の女陰に侵入した。
「おおっ。このオナゴ生娘じゃの。えらく締め付けてきおる・・・」
禰豆子は宙吊りにされたままのけぞった。ぬっ、ぬっ、と繰り返して呻いていた。眼球が上に向いて白眼になっていた。
俺はどうすることもできない己の無力さに絶望していた。こんな年老いた鬼に禰豆子を犯されてしまうのか。禰豆子、兄ちゃんを許してくれ・・・
悔し涙を流している俺に鬼は気づいたのか、
「どうだ、悔しいか、自分の愛する女を他人に取られて。このオナゴはの、もうじきワシの毒が脳と全身の神経にまわって、ワシの虜になって
しまうぞ。ワシの奴隷になるのじゃ。悔しいのお。泣け、泣き叫べ。ワシは若い男が女を寝取られて泣く顔がたまらず好きじゃ。ひゃひゃひゃひゃ。」
老人の股間から伸びた黒いモノが禰豆子の女陰から出たり入ったりを繰り返し始めた。禰豆子は半開きにした口からタラーと糸のような涎を
流していた。
「もうすぐワシのイチモツの先から、オナゴのからだの中に雄の精を注入してやるぞ。3月後にはオナゴのからだから新しい鬼の誕生じゃ。鬼の子は
人の子より早く育つでな。さあ、激しくいくぞ。(血鬼術、受胎鬼児、倫断淫楽)
ここで設定こぼれ話し
この老人の鬼は人間だったころは学校教師でした。教科主任でしたが、自分の立場を利用して教師になったばかりの女教師に次々と手を出し、
結婚をちらつかせては最後に捨てていまいた。落ちこぼれの女子学生を補修授業と嘘をついてドライブに連れ出し、卑猥な行為をした罪で
懲戒免職にされました。昔遊んで捨てた女教師に包丁で刺され瀕死の重傷を負いますが、鬼舞辻無惨に救われ鬼になりました。最初、鬼の顔は
イケメンでしたが、かつての同僚の怨念から醜い老人の姿になったという噂です。
その時、月を背にして胡蝶しのぶが舞い降りて来た。
「あれ、あれ。鎹鴉(かすがいがらす)が知らせてくれなかったら、炭治郎君も禰豆子さんも鬼にやられちゃうところでしたね。」
「なんじゃ、お前は。女の鬼殺隊か。おもしろい。まとめてワシの餌食にしてやる。」
「私、女を騙して食い物にする鬼が一番嫌いですの。」
「やかましいわい。(血鬼術、縄車)」
「花の呼吸、女人の雷(いかずち)」
目にをも留まらぬ速さで胡蝶しのぶと鬼が交叉した。
「な、何をした。ワシの縄が全部燃えて灰になってゆく。ややっ、ワシのからだも灰になるぞ。こ、これは・・・」
「藤の花のエキスを剣先から注入したのですワ。あなたのお股から出ている黒いモノに。」
鬼はみるみるからだが灰になっていった。
鬼のまぶたに子供のころの情景が浮かんでいた。
鬼の母親は12歳だった頃、病気の父親を置き去りにして愛人と駆け落ちしたのだった。
肺の病気だった父親は、寝床から殆ど起き上がることができなかった。
大きなカバンを手に玄関を出る母親を少年は必死で呼び止めた。
「母ちゃん、置いていかないでくれよ。父ちゃん病気なんだぞ。俺はどうすりゃいいんだよ。」
「私はもう疲れたの。父さんやアンタの世話をするのにね。もう私のことを母さんと呼ぶのはやめてね。じゃ、さようなら。」
少年の父親はそれから1週間後に亡くなり、少年は施設に入って大きくなった。
少年は大人になって女を陥れ弄ぶ男になっていた。鬼は呟いた。
「ワシはずっと孤独じゃった・・・」
灰になって行く鬼の心に父親が現れた。
「ごめんな、父さんのからだが弱いばっかりにお前に苦労をかけて。母さんもぎりぎりまでがんばってたんだ。
だから女を弄ぶのはやりすぎだ。これからはずっと父さんと一緒だからな。」
鬼のからだは遂にカケラとなり、それもやがて細かな粒子となって空中に消えていった。
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