マンションの一室で女性が殺害されていると通報があった。現場に急行した結城刑事と友田刑事は現場に駆け付けた警官から報告を受けた。
「被害者は島田莉穂、24歳、中学教師です。、第一発見者は同僚で同じ中学教師の相田美奈、28歳。本日被害者は学校を無断欠勤しており、連絡が取れなかったため、校長の命令を受けて第一発見者が様子を見に来たところ、ドアの鍵はかかっておらず、ドアを開け声をかけたところ、返事がなく、なおかつ異臭がしたため、警察に電話し、そのまま外に待機していたそうです」
「被害者を最初に確認したのは警察官ということか」
「はい、自分であります」
「なぜ第一発見者は中に入らなかったんでしょうか」友田刑事が尋ねた
「昨日の母子変死事件の被害者が同中学に通っていたこともあり、本日全校生徒に校長が報告を行ったこともあり、中に入るのを躊躇したそうです」
「同じ中学校、ですか、亡くなった中野貴教君との関係は?」
「はい、亡くなった島田莉穂さんは担任だったそうです」友田刑事の背中に悪寒のようなものが走った。あの少年をめぐる痴情のもつれ、若手の女刑事のも容易に予測できるが、殺意を抱くまでの恋愛感情を自分は持ったことがあるのだろうか、彼女は自問自答した。
殺害現場は鑑識作業が続いていた。
「犯行時刻はおとといの午後20時から21時といったところかな、犯人を部屋に招き入れ、背中を向けた瞬間に鋭利な刃物で背中から一突き、そのあと同じ刃物で首をかき切られている。かなり強い殺意を感じられるが、凶器はどこにでも手に入るサバイバルナイフみたいなものかもしれない。犯人はかなりの返り血を浴びて、この部屋でシャワーを浴び、着替えて血の付いた衣類をそのまま残している」
「なんですって」友田刑事は驚きの声を上げた
「被害者を殺害することで犯人はある程度の目的を達成し、逮捕されることを恐れていない。むしろもうこの世にはいないのかもしれない」結城刑事が口唇を噛み締めた…
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