アーケードをひとつ超えたところに目的のホテルがあった
「今夜はここに泊まるの」美智子はやっと貴教の手を離した
「お姉ちゃんったら~」
「いいじゃない、ここでは誰もわたしたちのこと知らないんだから。わたしたちって、姉弟に見えるのかしら、それとも親子かな?」美智子は笑顔で貴教の答えを期待した
「恋人同士に見えるんじゃない」貴教が笑顔で言うと、20歳年上の叔母は胸がキュンとするのを覚えた
「言うようになったじゃない」二人は腕を組んでホテルのフロントに向かった。
「わあ~、すごいいい眺め~」10階のスイートルームに入ると貴教がはしゃいだ。
「気に入ってくれた?」背中越しに甥を抱きしめる叔母
「うん、お姉ちゃん連れてきてくれてありがとう」ハイヒールを履いている美智子よりも貴教はわずかに身長が高くなっていた。
「ノン、大きくなったね」頬ずりする美智子。
大学3年の時、美智子は酷い失恋をした。その相手である大学の先輩をたより、内定を手にしようとしていた美智子はその会社をあきらめるほどだった。落ち込んだ美智子を癒してくれたのはやっとヨチヨチ歩きを始めたばかりの貴教だった。幼児特有のぷっくりした頬を寄せ、美智子の腕の中で甘える甥の可愛さに傷ついた心が癒されて行くのを感じた美智子は、元気を取り戻し、新たな就職先を見つけ、頻繁に中野家に通うようになった。その頃、夫が海外に赴任となり、初めての育児に疲れを感じていた美佐子にとって妹の存在はありがたかった。
「もう、貴教は美智子が大好きなんだから」
「ふふ、ノンもピチピチギャルがいいのよね~」貴教の大好きな絵本のキャラクターからとったニックネームで甥を呼ぶ美智子、美佐子の目を盗みその頬に頻繁にキスをした。
「お姉ちゃん、誰かに見られちゃうよ~」窓際で大胆に頬ずりする叔母に貴教は声をあげた
「ごめんね、ノンが小さかったころ思い出しちゃった。すごい可愛かったんだよ、今ではめっちゃイケメンになっちゃったけど」貴教の頬に強引にキスをする美智子
「お姉ちゃんにいっぱいキスされたの覚えてるよ」
「そんなにしたかな~、ノンもいっぱいしてくれたよね」
「そうだったかな~?」
「ねえ、今してくれる?」
「えっ、でも」
「今夜だけ、お願い」叔母の言葉に少年は遠慮がちに頬に口付けた
「ありがとう、今夜はいっぱい楽しもう」叔母は最愛の甥をきつく抱きしめた
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