年が明け2月、晴美は無事女の子を産み、名を「希美」と名付け市役所に届けた。
父親の欄には晃の名前を書いて・・・
晴美18歳の時である。
それから二人は両親と一緒に生活をし、一年が過ぎようとしてた時、晴美は三人目を身籠った。私の妻、深雪である。
そして晃にとっては待望の我が子である。
晴美が二十歳の冬、深雪が産声を上げた。
その日は寒く窓からは雪が深々と降り積もってるのが見えた。
それから晃は晴美と三人の娘の5人暮らしになるため、今以上に仕事に精を出した。
その姿に晴美は感謝の気持ちを持つのと同時に、晃に対し申し訳ない気持ちも裏側で感じていた。
それは希美の父親の事である。
希美の父親は憲司の父だとは晃は知らない。
晃は希美の父は憲司だと思っているのだ。
晴美はその事を母親にしか言ってない。
二人の秘密なのだ。
晴美も母親も三姉妹それぞれ精子が異なる事に罪悪感を感じていたが、この事は二人墓場まで持って行く覚悟を決めていた。
美佳は今後の相続権全て放棄することを約束し、憲司が認知することを憲司の両親が承諾し認知した。
そのため戸籍上、美佳は前夫の子となっていたが、希美の出生届と一緒に養子縁組を行い、晃の戸籍に入れた。
戸籍上は親子だが三姉妹全員父親が違う事は、今も晃・美佳・希美・深雪は知らない。
その罪悪感からか、晴美は晃と三人の娘には精一杯の愛情を捧げた。
それは晃が交通事故により49歳の若さで亡くなってからも・・・
この事は私もつい最近まで知らなかったのだが、晴美の母親も亡くなり一人であの罪悪感を背負うのは辛かったらしく、私に打ち明けてきたのだ。
辛い過去を持つ晴美だが、私を頼りにしていたと思うと今まで以上に愛しく思える・・・
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