俺は小学校に来ていた。土曜日の夕方、静まりかえっていた。職員室の灯りがともっていた。俺は吸い込まれるように校門を開け中に入った。
「あれ、児童じゃないよね」遠くから声が聞こえてきた
「君はここの卒業生かな」ジャージを着た体育の山中先生だった。まだ30代前半で女子に人気があった。
「そうです」
「ごめんね、そろそろ職員とPTAの臨時会議が終わるからそうしたら校門閉めるけど、何か用かな?」
「あの」俺は言いかけてやめた。
「すいません、大丈夫です。帰りますから」俺は山中先生にお辞儀をして校門を出ようとした。
「もしかして、白鳥先生のことを聞きにきたのかな」その声に俺は立ち止った
「やっぱりそうか、白鳥先生は自分一人が責任を取ると言っている。私がとやかく言うべきではないが、白鳥先生のことは忘れるべきだ。彼女を思っているなら、その気持ちをこれからの人生にぶつけなさい」そう言うと先生は去っていった。
俺との関係が学校に知れてしまって、先生は…
泣きながら家に向かった歩いた。すれ違った人たちが足を止めた。
「どうしたの、君同じ学校よね」ななせと話したのはその時が初めてだった。
「はい、涙ふいて」ハンカチを渡してくれた
「ありがとう」ハンカチを受け取り俺は涙を拭いた
「あなた、バスケ部のスーパースターの尊徳君でしょ」
「えっ、ごめん君は?」
「あたしは弱小空手部の結城ななせ、あなたの隠れファンよ」ななせは微笑んだ
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