「ねえ、社長さん呼んでくれる?」
妻は、受付の女性に声をかけた。
受付の女性は、驚いて、
「かしこまりました。すぐお呼びします。」
他の受付嬢が、
「誰?偉そうに。」
と声で話すと
「バカ!会長のお嬢様よ。聞こえたら、大変。この前の旦那さんみたいに許してくれないわ。」
幸い、妻には聞こえていなかったが、彼女達は後で白状してしまう。
社長が、
「お嬢様お待たせしました。会長から連絡貰ってます。行きましょう。」
受付に社長が現れたので、受付嬢や玄関ホールにいた社員、お取引先の人達はお辞儀をしていたのである。
「ヤダ、社長さん私がきたからご迷惑みたい。早く行きましょう。
ごめんなさい。主人がここの社食が美味しい、って言うから食べたくなっちゃて。
でもいいのかしら?私社員じゃないのに。」
「お嬢様、会長の娘で大株主様。社員同然でございます。うちの社食が気に入ったら、何時でもご利用下さいませ。」
社食は大騒ぎ。会長の娘が食べに来るからだ。社長は何か失礼があったら大変だから、社員は立入禁止にしてしまったのである。
「M子何しに来たんだよ。お前のせいで、皆んな食べれないじゃないか!」
(あちゃー、失敗した。どうしよう。お義母様に殺されちゃう。)
「仕方無いか。お前はお嬢様だからな。社長さん気を使い過ぎ。でも美味しいだろ。」
「うん、美味しい。でも勿体ないね。この味ここの社員しか味わえ無いなんて。」
「M子ありがとう。何かいいアイデア浮かんだかも。」
妻は、キョトンとしていたが、
「入口まで送るよ。この会社広いから迷子になったら大変だからね。」
「全く、子供じゃねえし。でも嬉しいわ。Yちゃんやっぱり優しい。」
「アッ、おねえさん達受付嬢だったんだ。普段社員通用口使うから判らないわけだ。」
(Yちゃんがお喋りした女性ってあの子達なんた。ラッキー助かった。)
「Yちゃんありがとう。何かアイデア浮かんだでしょ。仕事に戻ったら。」
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