高校受験の前日、僕は高熱を出して寝込んでいた。
風邪をひいても看病なんてしてくれない母が、
「大丈夫、しっかりしなさい。」
オデコのタオルを替えてくれた。
「ママ優しいね。いつもなら、弛んでいるから風邪なんてひくのよ。って怒るのに。」
「今日は特別よ。明日行けなかったら、大変でしょ。あなた滑り止め受けて無いんだから。」
「だって志望校ワンランク落としたし大丈夫って、ママ言ってたから、お金勿体ないじゃん。」
実は、僕の受ける高校は難しくギリギリのラインだったらしい。元々の志望校は全然ダメだったのだ。今年は以前より偏差値が上昇してたのである。
母は、知っていたがプレッシャーに弱い僕には黙っていたのである。
「Yくんは、本番になると子供のこれから緊張して駄目だったわね。運動会でよく転んで泣いてたわ。
全く、内申書がいいから大丈夫って言ったでしょ。だから滑り止め受ければ良かったのよ。バカ!」
「ママごめんなさい。ウゥ。」
泣いてしまった。
「あらあら、赤ちゃんか!もう。
Yくん、競走馬の話し覚えてる?」
僕は頷いた。
「明日行けなかったら、レースに出れない馬と同じよ。」
「そうだね。出れないと言う事は負けたわから、ママに食べられちゃうんだ。」
「でも勝った馬は?」
僕は、恥ずかしくなって寝たフリをして黙ってしまった。
(頑張ろう、ママは僕の為に体を張って性教育までしてくれたんだ。)僕は、本当に寝てしまった。
「あれ?いつの間にか寝てるわ。熱も下がって来てる。何とかなりそうね。頑張ってね。」
彼女は息子にキスをした。
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