授業参観とか、運動会などで母が学校に来ると、必ず同級生から、
「お前のかあちゃん美人だな。」と、言われるのが自慢だった。
ある時、普段着で来たことがあり、あんまり言われ無かったから、
「何でそんな格好で来たの!」
と怒ってしまった。
「どうしたの?普通の格好で来ちゃいけないの。」
僕はつい、
「僕は、皆んなにママが美人、って言われるのが楽しみだったんだ。」
「そうなんだ、確かにこの服だと目立たないわね。ごめんなさいね。今日は時間がギリギリで、いつまでも怒っているなら、肩組んであげないよ。」
「ママの意地悪。嫌いだ。」
「あら?ママはYくんの事大好きよ。」
「本当?やっぱり僕……。」
「なあに、聞こえない。男の子でしょ。はっきり言いなさい!」
「僕もママが好き!」
「うふふ、両思いね。私達。じゃあ肩組んであげる。」
母は肩を強く組むと、
「もっと言いなさい。ほら!」
「ママが好きママが好きママが好き。」
母は、笑いながら、オデコにキスをしてくれたのである。
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