彼女と娘は不安そうな顔で見ていたが、彼は缶を持ったまま私を見て答えた。
《意外と…イケる…かな?》
家に来て彼は初めて笑った。はにかんだ笑顔だったが、ずっと緊張していた顔は少しほころんで子供っぽい顔になっていた。
「いいね!いい顔になったよ。大人ぶった顔よりその顔の方が全然いいよ!な?コハル?」
〈う…うん。〉
私の腕にしがみつく娘と同じように、向かいで彼女は彼の肩にしなだれかかっていた。
普段ベタベタしているとは聞いたが、甘えていたのは彼女の方だったらしい。
空になったビールの缶が3つ4つと増えると、娘と彼女は一緒にシャワーを浴びると言ってリビングを出ていった。
彼と2人残されたが、初めのような緊張はなくなっていて、彼もリラックスしている様だった。
「ユウセイ君はお嬢の他に経験は?」
《え?ないですよぉ》
「好きな女の子とかはいないの?」
《えっと…まぁいると言えばいるんだけど…》
「お嬢の監視がキツくて…って感じかな?」
《まぁ…って母には内緒ですよ?》
「わかってるって!」
話を聞くとどうやら彼女は彼を可愛がるあまり、他の女の子と極力距離を置かせるようにしているらしい。
私も娘に対して同じように思っている節があるのでそれは理解できた。
ただ、年相応に遊ぶ事が出来ない彼が少しずつ不憫に思い、彼女の注意を引き付ける役を買ってでることにした。
《え?ホントに?》
「まぁ私も彼女は初恋相手だし、ユウセイ君がよければだけどね?」
《はい。あ……でも…》
「もちろん彼女とするのは構わないよ。……すごいもんな…身体もテクニックも」
《ハハハ……ですね》
「もっと聞いてもいいかな?」
《はい、なんでも!》
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