目をそらしたりする事なく真っ直ぐ私を見て話す姿は、高校生とは思えないくらいに堂々としていて違和感があった。
「ユウセイ君、ちょっと聞きたいんだけどさ……何か無理してないかな?」
《え?…無理と言うと…?》
「ごめんね、何かちょっと…高校生っぽくないと言うか、演じてると言うか…」
〈あ……やっぱわかるんだ?〉
「お嬢何か言ったの?」
〈うん……行儀よくしてねって。〉
「普段はこんな感じじゃないってこと?」
〈うん。もっと子供っぽいかなぁ…〉
彼女は知らず知らずに息子をコントロールしていた。
いい子を演じさせる事が負担になるとは思っていなかったらしい。
自分がされていた支配を、形を変えて無意識に息子に課していた。
そのままそれを伝えるのは簡単だったけど、彼女の事を考えてやめた。無意識に息子を縛りつけていたとなれば、彼女自身もまたショックを受けるかもしれないと思った。
「そうなんだぁ。……まぁウチじゃそんなにヨソ行きな感じじゃなくてもいいよ!リラックスして……そだな、ビールでも飲む?」
《え…?ビールですか?》
「ほらほら、敬語とかいらないからさ!お嬢、いいよね?ビール一杯くらい」
『え…でも……』
「はい、いいってさ!乾杯しよ乾杯!」
彼女をおいて私は回りに水滴のついたビールを開けて息子に渡した。
「乾杯!」
《あ、はい》
初めて飲むであろうビールを彼は口元へ運び、二口三口と飲んでいた。
眉間に寄ったシワが不味いと主張していたが、私はもっともっとと勧めて半分程度飲ませた。
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