トイレを出ると娘は脱衣所にはおらず、洗濯カゴには私の下着が戻されていた。
それを見て、ふと、ある事を思い出した。
仕事の打ち合わせで月に1~2回ほど泊まりで家を空けたりした時、自分で抜いて精液が染み込んだティッシュがゴミ箱の中で移動している時があった。
臭いを気にしてコンビニ袋に入れて丸めていたはずが、袋から出ていた事が度々あった。
その時はさほど気にしなかったが、娘の行動を知った後ではそれが納得がいった。
オナニーを見られてしまうという経験をした娘に、その後どう接すればいいか悩んだが、なるべく無かった事にしようと思って夕飯を用意して娘を呼んだ。
両手をお尻に当てながら顔を伏せゆっくりと歩き椅子に座った。
私とは目を合わせず、手をあわせていただきますと小声で呟き夕飯を食べはじめた。
普段はおかずの味付けや学校の事を話しながら食べていたが、その日はお互い無言のままただ食べ物を口に運ぶだけだった。
夕飯を終え食器を片付けている時、さすがに無言の空気に堪えられなくなった私は、娘にリビングで話をしようと持ちかけた。
ひととおり洗い物を片付け、自分用のコーヒーと娘用のココアを持ってソファに座る娘の横に腰をおろした。
娘にココアを渡してからコーヒーをひとくち飲んでから、なるべく言葉を選びながら話しかけた。
「コハル……。さっきのことだけどな、……パパは……良いと思うよ。」
〈……………………〉
「パパに見られて恥ずかしいかもしれないけど、まぁ……みんなしてることだし、悪いことじゃないから……」
〈……………………〉
「……ママがいたらな、まぁそーゆー事も……教えてはくれないだろうけど助けてくれる事はあったかもしれないけどな……パパは……なんて言えばいいか………」
〈……………………〉
うまくフォローする言葉が浮かばず、同じく娘も湯気が立つカップを見つめたままずっと黙っていた。
「……パパは……ごめんな、うまく伝えられないけど、……なんて言うか………コハルの味方だから……って、味方ってのも変だな、…うーん……」
〈………ごめんなさい…〉
「いや悪い事じゃないんだから謝らなくていいんだよ。」
〈……………………〉
「あーパパあれだ!今日の事は記憶から消すから!もー全部忘れるから!だからコハルは何も気にしなくてオッケー!な?そーしよ!」
なんて言えばいいのかわからず、結局は無かった事にするのがベストだと思いそれで終わらせようとした。
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