家に着いて玄関に入ると彼女ひとりが出迎えてくれた。
『おかえり~!』
「ただいま。あれ?子供たちは?」
『リビングだよ~。あ、義姉さんお疲れさまです~』
〔あ……ハハハ……どうも…〕
『あがってお茶でもどうですか?お話しすることもありますし~』
〔うん……お邪魔させてもらうわね…〕
姉は少しオドオドしながら彼女の後についてリビングへと入った。
ソファには娘と姪が隣り合って座り、姉を見つめていた。
姪の前に座って黙ったままの姉に、お茶を出しながら彼女が助け船をだした。
『義姉さんみっくんからお話し聞きましたよね~?』
〔あ…うん〕
『私も聞いてました。知ってたのに今まで黙っててごめんなさい。』
〔……うん…〕
『でも、も~隠し事ないんですし、私は義姉さんともっと仲良くなりたいと思ってるんですね。息子と……関係持っちゃった者同士で…』
〔…うん………〕
姉は肩をすくめてうつむき、顔を赤くして誰とも目を合わさずにいた。
姪は娘と身体を寄せ合ってただ姉の様子を見ているだけだった。
しばらく沈黙した時間が流れていたが、姉がひとつ深呼吸した後に口を開いた。
〔あの……マイナ……〕
{…うん?}
〔その………ゴメンね……ママ家で……その…………〕
{…浮気してたこと?}
〔うん……嫌な思い…させちゃって……ゴメンね…〕
{うん、も~いいよ!…まぁ見た時はビックリしたけどさ!}
〔……ゴメンね…………〕
{わかったって!マイナもうへ~きだし!私もママに言わなきゃならない事あるんだけど……}
〔……みつに聞いた。知らないうちに……大人になってたのよね〕
{うん、ゴメンね。}
〔ママが悪いんだから…マイナが謝ることないよ。本当にゴメンね…〕
背中を丸めて小さくなった姉は姪に向かってゆっくり頭を下げていた。
{も~いいってママ!それよりさ……ママ、マイナこれからもここに遊びに来てもいい?………遊びってゆ~か…アレだけど……}
〔…………う…ん………。ママもね…毎回……アレ…だったし………〕
「ねぇちゃん、もーハッキリ言っちゃおうよ。マイナも子供じゃないし、お嬢もコハルもみんなわかってるからさ」
〔……ウン…そう…なんだけど……やっぱり恥ずかしい…し…〕
『そりゃそうですよね!いくらわかってても口に出すのとは違いますし~。少しずつでいいですよね!……って、それより義姉さんの…気持ちは……?』
〔……すぐにどうこうって…考えられないけど……でも、ダメなわけでも…〕
「さっきも散々してきたしねー」
〔あ……バカ…〕
『みっくんデリカシーないよ?いくらみっくんでも怒るよ?』
「あ……はい…」
『ヨシ。』
***
その日はそこまでで一旦終わりにし、姉と姪は帰って行った。
「そーいえばユウセイは?」
『バイトの面接行ってるよ。』
「あー。ドラッグストアって言ってたっけ?別にバイトなんかしなくてもいいのにな」
『欲しい物でもあるんじゃないかな?成績落ちなければいいけどね~』
〈ねぇねぇパパ!今日おばちゃんとの時間長かったよね~?〉
「んー、まぁ…」
〈たくさんしたの??〉
「めっちゃした。初めて普通にしたけど……ヤバかったわ」
姉との事を詳しく聞きたがる娘に便乗して、彼女も横で興味津々でいろいろと聞いてきた。
デレた姉の様子を話すと、みんなで楽しめる日がすぐに来るかもしれない期待で2人共ワクワクしていた。
※元投稿はこちら >>