・・・・・・・・・・
今日は少しラッキーだったかな、
仕事を早く上がれて小百合は、帰宅途中に近くのスーパーで買い物も済ませて、自宅へとぶらぶらと歩きながら、そうつぶやいた。
小百合は、勤め先の宝飾品店の販売主任をしていた。
今日は、勤怠システムへの入力ミスが発端でバイト店員のシフトが重なってしまい、人手が足りすぎていた。
店長からは、いつも帰りの遅い小百合を気遣ってか、
いいからいいから、今日はもう早く上がってゆっくり休んでよ。
、と半ば強制的に職場から追い出された体になった。
今夜は旬の大きなナガイモが手にはいったから、この間健次に気に入ってもらったナガイモのステーキでも作ろうかしら。
小百合はそんなことを考えながら、昼下がりの穏やかな春の陽気の中、自宅に通じる散歩道をぶらぶらと歩きながら帰っていった。
小百合が自宅アパートの前に着き、何気なくドアノブをひねると、扉に鍵が掛かっていないことに気がついた。
あらあら、また健次かしら。
いつもドアに鍵も掛けずに、ドアチェーンすらしないんだから、、
全く無用心ったら、、
と言いながら、ふと玄関下に目をやると、そこには女の子の靴が置いてあるのに気がついた。
一瞬呆然とするが、直ぐに嫉妬の感情がメラメラと込み上げてくるのを抑えることもできず、
小百合はうち震えながらただ湧き上がる負の感情に身を委ねた。
(つづく)
※元投稿はこちら >>