夜10時。スナックは満員で盛り上がっている。水割りの匂いや、柿の種の匂い、男達の匂い。その中で母は立ち続け、客と話したり、カラオケでデュエットしたりしながら働いている。僕はカウンターの奥の客から見えない小さなキッチンの前に、椅子を置き、マンガを読んだり、寝たり、たまにミネラルウォーターの瓶に水道水を入れたりしながら手伝っていた。スナックに来る客と同じで、母のことが好きな僕は、そばに居るだけでも楽しかった。今日は酒田がいないから、誰か客がタクシーで一緒に途中まで乗せてくれる人がいた。それに乗せてもらい帰った。
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