薄い水色のスーツ。短髪。口の回りにうっすらヒゲを生やし、サングラスをかけ、マフラーを首からかけた50代前半のがっしりとした男。小料理屋のママと男はカウンターに腰掛けテーブルを挟んで母と話す。母は恐々二人にビールを出し注いだ。男はグラスを掴んでクッと軽く飲む。小料理屋のママが、母が母子家庭で僕を育てなから頑張ってる、と僕が母の子供で来年から中学生になると話してくれている。俺が僕を見ている。僕に興味ない感じ。それでも、「ショバ代を出すなら、子供を塾にでも行かせてあげたほうが良い」などと母に話している。「ママ、心配しないでいいから、俺が話しつけてやるから」
母がお礼を言い、程なくして二人が立ち上がると、小料理屋のママが僕の後ろを通ってカウンターの中に入って、男の見えない場所で母に指を三本立てて、つつむようにと母に目で訴えていた。
母は戸惑っている感じだった。それでも、その場で屈んでハンドバッグから財布を出し、お金を出すと、手際よく僕の後ろを抜けて、男にもう一度お礼を言うとティッシュに包んだそのお金を渡した。
男は、いらないと言って受け取らなかた。息子に何か買ってあげるようにと言って、小料理屋のママの店に戻っていた。
母が僕を背中から抱きしめて、「今日はもう店はいいや」と言った。「二人でお寿司でも食べて帰ろう」
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