母はテーブルで監督さんと向かい合った。
世なおし、お母さんの監督さんで、暴走族の連中に、母をさんざん痛めつけ、ぼろぼろにまわさせた監督。
タバコくさい黒いジャケットに、右手にタバコを持ち、ヘビースモーカー丸出しで、ちらちらっと僕を見ていた。
「今回は、美紗子さんちに、つまりこの部屋全体に小型カメラをセットして、1週間、ホームレスと暮らしてもらいます」監督は、傲慢に満ちた顔でそう言った。 「息子さんは、モザイクで処理するから、心配いらないかな」
僕は、おどおどしながら、聞いていた。
まわりの撮影機材を取り囲む男達の笑い声が耳にこだました。
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