日曜日の夕方なのに、そのファミレスは空席が目立っていました。夕食の時間には、もう少しだけ早いようです。
私は一番奥の席に座り、山下を待ちます。15分遅れて彼女が到着をします。僕は手を挙げて、彼女に知らせるのです。
席についた彼女は、『どうしたのよぉ~?彼氏の話~?』とやはり、そう聞いて来ます。電話である程度は飲み込めたようです。
『山下~?ちょっと聞いていいか~?』
『なによ~?』
『答えたくなかったら、いいから。お前さぁ、お前と三島くんが付き合ってるの、会社のみんなは知ってるんか?』
『たぶん、知らない。もしかしたら、知っている人もいるかもわからないけど。』
『どうして言わんの~?お前の彼氏だろがぁ~。』
『年、離れてるし…。彼、まだ一年目やし…。』
と、確かに言いづらいことはあるでしょう。
『ところで、お前、あいつに二股に掛けられてないか~?』と聞くと、『なないと思うよ…。』と答えました。
この一言で、ほとんど彼女には伝わったようにも思えますが、その後の言葉は私からは出ませんでした。
『彼女、やっばりいるん~…。?』
『悪い…。どうしても確認だけしたくて。悪い…。』
『いるわなぁ~。あんな子やもんなぁ~。』
『それで、伝えに来てくれたん?』
『悪い…。山下が、辛い目にあったらいかんと思って…。知ってたんか?』
『ちょっとはねぇ~…。アホちゃうし…。』
『悪い…。』
『メールでよかったんよ。』
『会って、直接言った方がいいと思ったから…。』
しかし、彼女は
『会って目の前で言われたら、もう信じるしかないやろ~。メールやったら、『嘘っ!』って思えるやろ…。』と悲しげに言うのです。
その日、私は間違いを犯していました。彼女を思うあまり、先走った行動をしてしまったのです。
彼氏に彼女がいようと付き合うのは、山下の自由。『彼女を助けよう。』などと正義を語り、私ははき違えた行動をしてしまったのでした。
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