【…やっぱりそうか…。なんだろなぁ、ウチはそーゆー人たちを惹き付ける何かがあるのかねぇ…】
『そ~かもね!でね、シゲさんと弥生さん、もー少ししたらウチに来るよ!』
【オイオイ……なぜそれ早く言わない…】
話しているちょうどその時、チャイムが鳴った。
トモコが玄関に出迎えに行き、私と子供たちはテーブル周りを片付け、シゲさんと弥生さんをリビングへ迎えた。
{若さん、ごめんな、こんな時間に}
シゲさんは私を若さんと呼ぶ。
ここに住み始めた時に一番若かった、それだけの理由らしいが。
【いえいえ、シゲさんこそ忙しいのに】
シゲさんは名の通った会社の重役、近所でも信頼される人だった。
「シゲさんこんばんはー」
〈弥生さんこんばんは~〉
{コウくん、マホちゃん、お邪魔するね}
『コウ、マホ、2階へあがっててくれるかな?』
トモコに言われ二人は2階へとあがった。
リビングへ招き、腰を下ろすとすぐにシゲさんが話始めた。
{若さん、トモコさんから話は聞いているかな?}
【ちょうど先ほど…】
{ならまどろっこしく話す事はないね。若さん、どうか弥生を抱いてもらえないだろうか?}
【その前にシゲさん、弥生さんは大丈夫なんですか?】
家に来てから微笑んではいるものの、一言も喋らない弥生さんが気になっていた。
{あぁ、そうだね。若さんにもその辺しっかり話さないとな……}
シゲさんの話は私でも興味を引いた。
子育てが一段落して夫婦で楽しんでいる頃、急に立たなくなったらしい。
色々試したが効果はなく、弥生さんを満足させてあげられなくなった。
ならば割りきって、道具を使ったり場所を変えたりと、様々な事をして弥生さんを満足させようとしていたらしい。
10年以上そんな事が続き、それでも弥生さんはシゲさん以外に走る事もなかったが、それを申し訳ないと思ったシゲさんは、夫婦としてはそのままで、他の男とする事を提案した。
しかし弥生さんはそれを拒否していた。
…が、先日家に来た時のトモコの喘ぎ声や赤ら顔を見て、やっぱりしたい、してみたいと思い、シゲさんにすぐに相談した。
シゲさんも、私ならと快諾し、まずはトモコの理解と了承を得ようと連日相談していたとの事だった。
{若さん、どうかな?お願いできないだろうか?}
そう言うと上着の内ポケットから封筒を取り出し、テーブルの上に置いた。
{どうかお願いしたい…}
スッと背筋を伸ばした後、深々と頭を下げると、隣に座った弥生さんも一緒に頭を下げた。
【シゲさん、弥生さん、頭あげて下さい!】
トモコと慌てて二人に頭をあげるように言い、了解したと伝えた。
{お願いできるんだね!}
私をまっすぐに見て、同時に封筒をこちらに寄せてきた。
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