急にまた絡んでしまって申し訳ないと、お互い謝りながら身支度を整え、昼飯に行く事にした。
私の車にみんなで乗り込み、予約した店を聞くと、老舗の鰻屋の個室を取ったらしい。
【シゲさん、そこけっこうお高い所ですよね?】
{ん、まぁそうだな。あ!支払いはもちろん私がするから心配いらんよ!}
『でも~…』
〔お誘いしたのはこちらですからね!シゲさんに甘えちゃって大丈夫だから!〕
「うなぎー!」
〈うなぎ~!〉
店に到着すると、一番奥の個室に案内された。
シゲさんはメニューも見ずに、鰻重とひつまぶしどちらがいいか注文を聞き、そのまま店員さんに伝えていた。
{ここは注文が入ってから捌くから少し時間がかかるけど、ゆっくり話すには良い所だからな}
【すいません、ご馳走になります】
{で、早速だが…。
若さん、昨日のお礼をちゃんとさせてくれんかな?}
【いやシゲさん、お金はやっぱり…】
{旅行とかはどうだ?家族でテーマパークだったり温泉だったり、その旅行プレゼントさせてもらえんか?}
【旅行ですか…そうですねぇ…】
{海外でもいいぞ?}
【さすがに海外は…】
『あ!パパ!温泉!この前コウとネットで見つけた温泉!』
【あー何か言ってたな?良さそうな所か?】
『うん!混浴の露天風呂があるの!』
【へぇ。混浴露天風呂か】
{おっ!?トモコさん!そこはもしかして…ひょっとこ温泉の豊恋荘じゃないかい?}
『そうそう!シゲさん知ってるの?』
{有名な所じゃないか!混浴で!}
どうやらそこは露出や相互観賞等で一部の夫婦やカップルにはかなり有名な場所らしかった。
風呂での行為こそNGだが、触り触られ等ソフトなものや、写真撮影もOKな所だそう。
{パソコンで見てたらそこが出てきてな。1度行ってみたかったんだが、弥生がOKしてくれなくてな…}
【シゲさん、そこ行きたいです!それと、シゲさんと弥生さんも一緒に行くとかはどうですか?一緒に行くのであれば、是非】
{いいのかい?私らも一緒で?}
【寧ろ一緒じゃなければ旅行も断りますよ!】
{そうか!どうだ?弥生?}
〔はい、若さんたちとみんなでなら〕
{決まった決まった!みんなでそこに行こう!コウくん、マホちゃん!いいよな?}
「オッケー!」
〈うんいいよ~!〉
還暦間近のシゲさんのはしゃぎっぷりは見てておかしかったが、喜ぶ姿を見るのは悪いものでもなかった。
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